後半の爆発を呼び起こす勝ち越しゴールを挙げる。
頼れる男の面目躍如だった。決勝点を挙げたのは、市立船橋のMF椎橋慧也だ。同点で迎えた後半15分、右サイドからのFKがファーサイドまで流れたところを、右足でゴールへ叩き込んだ。
力のこもったガッツポーズを見せた主将は「せっかく先制して良い状態だったのに、自分のミスで失点してしまった。絶対にどこかで借りを返さなければいけないと思っていた。いつもはニアに入ることが多いけど、直感で自分がファーに行くことにした。運よくボールが来て良かった。みんながきつい時には、自分がやらないといけないので、結果につながって良かった」と喜んだ。
市立船橋は、前半13分にFW矢村健のゴールで幸先よく先制。その後もFW永藤歩の快足を活かした速攻で敵陣に押し込んだ。しかし、後半開始早々、久御山のMF玉村光輝がワンツーでバイタルエリアに侵入すると、止めに入った市立船橋の椎橋がファウルの判定を受けてPKを献上。MF山本蓮が決めて追いついた久御山の反撃は少しずつ力強いものになっていった。
朝岡隆蔵監督は「前半にもう1点欲しかった。ハーフタイムには、このままだと(相手にチャンスが)あるよと言っていたが、案の定、取られた」と後半の立ち上がりまでの苦々しい展開を振り返った。
試合の流れが市立船橋から久御山に移りつつあった。だからこそ、セットプレーによる一撃は、大きな意味を持った。再び勝ち越しに成功して流れを引き戻した市立船橋は、プレッシャーから解放された攻撃陣が立て続けに加点。試合終了間際に2点目を許したものの、4対2でしっかりと勝利を収めた。椎橋は、自身の得点の直前にも斜め後ろからのスライディングで相手の決定機を阻止するなど、責任感のあるプレーで勝利に貢献した。
昨季の春先から「ボランチをやらせたら抜群に良い」という指揮官の評価を得て、ワンボランチで起用されるなど高い期待を受けて来た。身長は180センチに満たないが、体格は良くコンタクトにも強い。中盤でボールを回収し、攻撃を続けるチームのペースを生み出すのに欠かせない存在だ。
「今、自分が取り組んでいるのは、攻守にわたってボールに関わり続けること。守備ではボールを回収し続けて、攻撃は自分から縦に(パスを)どんどんつけていきたい」とさらなる成長に意欲を示している。リーダーシップも持ち合わせており、名門の支柱としてチームを牽引してきた働きは、プロクラブの目にも留まった。
昨季は初戦敗退の憂き目にあったが、今季は着実に一歩一歩勝ち上がって来た。しかし、ベスト8で満足できるチームでないことも確かだ。
椎橋は「トーナメントなので勝つことがすべて。やりたいサッカーをできれば良いけど、そういうわけにもいかない。どうすれば勝てるのかということだけを意識している。先輩たちが築き上げてくれた伝統があるし、そこに一歩でも近付きたい。チーム全体の調子は少しずつ上がって来ている。3回戦、準々決勝が一番難しいところと聞いているので、まずは次の試合をしっかりと勝ちたい」と気を引き締め直した。
最多8回の優勝を誇る常勝軍団には、頼もしいリーダーがいる。
取材・文:平野貴也(フリーライター)
力のこもったガッツポーズを見せた主将は「せっかく先制して良い状態だったのに、自分のミスで失点してしまった。絶対にどこかで借りを返さなければいけないと思っていた。いつもはニアに入ることが多いけど、直感で自分がファーに行くことにした。運よくボールが来て良かった。みんながきつい時には、自分がやらないといけないので、結果につながって良かった」と喜んだ。
市立船橋は、前半13分にFW矢村健のゴールで幸先よく先制。その後もFW永藤歩の快足を活かした速攻で敵陣に押し込んだ。しかし、後半開始早々、久御山のMF玉村光輝がワンツーでバイタルエリアに侵入すると、止めに入った市立船橋の椎橋がファウルの判定を受けてPKを献上。MF山本蓮が決めて追いついた久御山の反撃は少しずつ力強いものになっていった。
朝岡隆蔵監督は「前半にもう1点欲しかった。ハーフタイムには、このままだと(相手にチャンスが)あるよと言っていたが、案の定、取られた」と後半の立ち上がりまでの苦々しい展開を振り返った。
試合の流れが市立船橋から久御山に移りつつあった。だからこそ、セットプレーによる一撃は、大きな意味を持った。再び勝ち越しに成功して流れを引き戻した市立船橋は、プレッシャーから解放された攻撃陣が立て続けに加点。試合終了間際に2点目を許したものの、4対2でしっかりと勝利を収めた。椎橋は、自身の得点の直前にも斜め後ろからのスライディングで相手の決定機を阻止するなど、責任感のあるプレーで勝利に貢献した。
昨季の春先から「ボランチをやらせたら抜群に良い」という指揮官の評価を得て、ワンボランチで起用されるなど高い期待を受けて来た。身長は180センチに満たないが、体格は良くコンタクトにも強い。中盤でボールを回収し、攻撃を続けるチームのペースを生み出すのに欠かせない存在だ。
「今、自分が取り組んでいるのは、攻守にわたってボールに関わり続けること。守備ではボールを回収し続けて、攻撃は自分から縦に(パスを)どんどんつけていきたい」とさらなる成長に意欲を示している。リーダーシップも持ち合わせており、名門の支柱としてチームを牽引してきた働きは、プロクラブの目にも留まった。
昨季は初戦敗退の憂き目にあったが、今季は着実に一歩一歩勝ち上がって来た。しかし、ベスト8で満足できるチームでないことも確かだ。
椎橋は「トーナメントなので勝つことがすべて。やりたいサッカーをできれば良いけど、そういうわけにもいかない。どうすれば勝てるのかということだけを意識している。先輩たちが築き上げてくれた伝統があるし、そこに一歩でも近付きたい。チーム全体の調子は少しずつ上がって来ている。3回戦、準々決勝が一番難しいところと聞いているので、まずは次の試合をしっかりと勝ちたい」と気を引き締め直した。
最多8回の優勝を誇る常勝軍団には、頼もしいリーダーがいる。
取材・文:平野貴也(フリーライター)