少ないゴールを守り切る手堅い試合運びが浸透し——。
5年ぶりのJ1復帰を目指すアビスパ福岡が、終盤戦に来て素晴らしい戦いを見せている。
今節は敵地で群馬を下し(4-0)、6連勝。連続無敗は10試合に伸びた。すでにプレーオフ進出を決めているが2位の磐田にも勝点差2、自動昇格枠に飛び込んでくるかもしれない。
今季の福岡は1-0の勝利がリーグ最多の12試合と、少ないゴールを守り切る手堅い試合運びが浸透した。しかし最近4試合で15得点・2失点と守備の堅さを維持しながら、ゴール数を飛躍的に増やしている。
これはウェリントンを中心とした攻撃陣が、高さと強さを遺憾なく発揮しているからだ。
群馬戦のウェリントンは1ゴールを決めたが、16試合5得点とゴールラッシュを見せているわけではない。
だが、存在感は際立っている。
敵の圧力をものともせず、後方から託されるパスのほとんどを確実に収め、味方につないでいるからだ。群馬戦でも背中で敵を抑え込み、頭や胸、腿を使って難しいボールを懐に収めるたびに、「すげえ」という感嘆の声が上がった。
ウェリントンだけではない。福岡の前線には、酒井、城後と、高さと強さを兼ね備えたアタッカーが顔を揃える。彼らがロングボールを競り勝つことで敵を押し込み、主導権を握っているのだ。
前線でひとりでボールを収めるウェリントンのような選手がいれば、そのチームは無理をしなくていいことになる。攻撃に割く人数を増やさなくてもチャンスを創ることができるため、守備を崩す必要がなくなるからだ。
日本ではパスを多くつなぐことがいいとされるが、少ないパスでゴールを決められるなら、それに越したことはない。
実際に群馬戦の福岡は、4点中3点をセットプレーから決めた。
目を見張るようなパスワークはないが、ねじ伏せるようなプレーでゴールを決めていく。守備陣も立ち上がりは不安定だったが、終わってみれば群馬のシュートを3本に抑え込んでいた。こういうゲームができるチームは強い。
井原監督率いる福岡の質実剛健で、基本に忠実な戦いぶりは、指揮官が柏でのコーチ時代に仕えたネルシーニョの影響が窺われる。また現役時代、CBとして活躍したという経歴も、試合運びの手堅さにつながっているはずだ。
「ウチは後ろが守るだけでなく、全員で守備をする。ウェリントンも献身的に守るので、周りは自然と守りの意識が高くなるんです」
守備について、このように語った井原監督は、次のように付け加えた。
「FWであっても守備をしない選手は、自分は使おうとは思わない」
これはちょっと印象深い言葉だった。「アジアの壁」と呼ばれた現役時代も、守らないFWに苛立ちを募らせていたのかもしれない。
取材・文:熊崎敬
【参考データ】(※39節まで)
《大宮》
1-0=5試合
完封=19試合(最多タイ)
《磐田》
1-0=2試合
完封=13試合
《福岡》
1-0=12試合(最多)
完封=19試合(最多タイ)
《C大阪》
1-0=5試合
完封=14試合
《愛媛》
1-0=7試合
完封=17試合
《長崎》
1-0=8試合
完封=17試合
《東京V》
1-0=6試合
完封=15試合
《千葉》
1-0=7試合
完封=15試合
《北九州》
1-0=3試合
完封=7試合
《札幌》
1-0=3試合
完封=13試合
今節は敵地で群馬を下し(4-0)、6連勝。連続無敗は10試合に伸びた。すでにプレーオフ進出を決めているが2位の磐田にも勝点差2、自動昇格枠に飛び込んでくるかもしれない。
今季の福岡は1-0の勝利がリーグ最多の12試合と、少ないゴールを守り切る手堅い試合運びが浸透した。しかし最近4試合で15得点・2失点と守備の堅さを維持しながら、ゴール数を飛躍的に増やしている。
これはウェリントンを中心とした攻撃陣が、高さと強さを遺憾なく発揮しているからだ。
群馬戦のウェリントンは1ゴールを決めたが、16試合5得点とゴールラッシュを見せているわけではない。
だが、存在感は際立っている。
敵の圧力をものともせず、後方から託されるパスのほとんどを確実に収め、味方につないでいるからだ。群馬戦でも背中で敵を抑え込み、頭や胸、腿を使って難しいボールを懐に収めるたびに、「すげえ」という感嘆の声が上がった。
ウェリントンだけではない。福岡の前線には、酒井、城後と、高さと強さを兼ね備えたアタッカーが顔を揃える。彼らがロングボールを競り勝つことで敵を押し込み、主導権を握っているのだ。
前線でひとりでボールを収めるウェリントンのような選手がいれば、そのチームは無理をしなくていいことになる。攻撃に割く人数を増やさなくてもチャンスを創ることができるため、守備を崩す必要がなくなるからだ。
日本ではパスを多くつなぐことがいいとされるが、少ないパスでゴールを決められるなら、それに越したことはない。
実際に群馬戦の福岡は、4点中3点をセットプレーから決めた。
目を見張るようなパスワークはないが、ねじ伏せるようなプレーでゴールを決めていく。守備陣も立ち上がりは不安定だったが、終わってみれば群馬のシュートを3本に抑え込んでいた。こういうゲームができるチームは強い。
井原監督率いる福岡の質実剛健で、基本に忠実な戦いぶりは、指揮官が柏でのコーチ時代に仕えたネルシーニョの影響が窺われる。また現役時代、CBとして活躍したという経歴も、試合運びの手堅さにつながっているはずだ。
「ウチは後ろが守るだけでなく、全員で守備をする。ウェリントンも献身的に守るので、周りは自然と守りの意識が高くなるんです」
守備について、このように語った井原監督は、次のように付け加えた。
「FWであっても守備をしない選手は、自分は使おうとは思わない」
これはちょっと印象深い言葉だった。「アジアの壁」と呼ばれた現役時代も、守らないFWに苛立ちを募らせていたのかもしれない。
取材・文:熊崎敬
【参考データ】(※39節まで)
《大宮》
1-0=5試合
完封=19試合(最多タイ)
《磐田》
1-0=2試合
完封=13試合
《福岡》
1-0=12試合(最多)
完封=19試合(最多タイ)
《C大阪》
1-0=5試合
完封=14試合
《愛媛》
1-0=7試合
完封=17試合
《長崎》
1-0=8試合
完封=17試合
《東京V》
1-0=6試合
完封=15試合
《千葉》
1-0=7試合
完封=15試合
《北九州》
1-0=3試合
完封=7試合
《札幌》
1-0=3試合
完封=13試合