「理想にこだわり過ぎず、現有戦力を活かすやり方を模索してきた」
就任1年目からしっかりチームを掌握し、アビスパ旋風を巻き起こした指揮官の手腕は、見事というほかない。昨季16位のクラブを5年ぶりのJ1昇格に導いた井原監督の哲学に迫る。
――◆――◆――
――福岡はプレーオフ進出を決め(注/取材は11月4日に実施)、39節終了時点で2位の磐田と勝点2差(※41節終了時点で勝点差なし)の3位です。自動昇格も狙える位置にいますが、率直にここまでの手応えは?
夏場以降に戦術が固まり、安定した戦いができていると思います。勢いも出てきたし、結果がついてきたので雰囲気も良い。自動昇格を狙える位置にいるのは大きいですね。
――今季を振り返ると、開幕当初は3連敗と出遅れました。そこからどうチームを立て直したのですか?
4バックでスタートしましたが、3節の札幌戦で3バックに変えました。引き分けにさえ持ち込めなかった開幕3試合のなかでも、札幌戦が一番良かったので、4節からしばらく3バックで戦いました。あの頃は最下位に落ちて開き直れた部分と、とりあえず勝点1を拾うという割り切りがありました。理想にこだわり過ぎず、現有戦力を活かすやり方を模索してきました。
――開幕前に、「理想はあるが、それが通じなかったら現実的なものに変えなければいけない」という話をされていました。
一般的に理想と言うと、ボールポゼッションで相手を上回り、自分たちが主導権を握って勝つサッカーになりますよね。それができれば、確かに観ている人も楽しい。ただ、僕自身の理想は、まず勝つこと。所属選手を活かしてどういうサッカーをすれば勝てるかを見極めて、その理想に近づけていきます。
――選手ありきでチームを組み立ててきたわけですね。
個の質をどう組み合わせていくかで、チームの理想が決まると思っています。もちろん、質の高いサッカーを目指しますが、現実的にチームに合うやり方も探さなければいけないということです。
――3連敗の後にパスサッカーを捨てたというか、前線に素早く当てるスタイルに変えた印象があります。
確かに変えました。後ろからつなぐサッカーもできれば良いと思っていましたが、それよりもうちの一番のストロングポイントを活かす方向に舵を切りました。中原(貴之)ら前線の選手たちの特長を考えると、ボールを前に入れて勢いを持って押し込んだほうが、チーム全体のパフォーマンスが上がりますからね。
――開幕当初に比べて、守備も安定した印象です。
開幕3試合で7失点した後、大幅に修正しました。前から行くのか、引くのかハッキリしなかったので、ブロックを作ってオーガナイズしていこうと。少し守ってカウンター的なサッカーに切り換えられたことが、流れを掴めた要因だったと思います。
――「攻守にアグレッシブなチームを作りたい」とも話していましたが、その点については?
開幕の頃よりは、攻守に渡ってアグレッシブになった実感があります。夏場の厳しい時期は多少戦術を変えながらではありましたが、そのなかでもやれる範囲のアグレッシブな守備や攻撃はできた。今はチームとして高いアベレージを保てていると思います。
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――福岡はプレーオフ進出を決め(注/取材は11月4日に実施)、39節終了時点で2位の磐田と勝点2差(※41節終了時点で勝点差なし)の3位です。自動昇格も狙える位置にいますが、率直にここまでの手応えは?
夏場以降に戦術が固まり、安定した戦いができていると思います。勢いも出てきたし、結果がついてきたので雰囲気も良い。自動昇格を狙える位置にいるのは大きいですね。
――今季を振り返ると、開幕当初は3連敗と出遅れました。そこからどうチームを立て直したのですか?
4バックでスタートしましたが、3節の札幌戦で3バックに変えました。引き分けにさえ持ち込めなかった開幕3試合のなかでも、札幌戦が一番良かったので、4節からしばらく3バックで戦いました。あの頃は最下位に落ちて開き直れた部分と、とりあえず勝点1を拾うという割り切りがありました。理想にこだわり過ぎず、現有戦力を活かすやり方を模索してきました。
――開幕前に、「理想はあるが、それが通じなかったら現実的なものに変えなければいけない」という話をされていました。
一般的に理想と言うと、ボールポゼッションで相手を上回り、自分たちが主導権を握って勝つサッカーになりますよね。それができれば、確かに観ている人も楽しい。ただ、僕自身の理想は、まず勝つこと。所属選手を活かしてどういうサッカーをすれば勝てるかを見極めて、その理想に近づけていきます。
――選手ありきでチームを組み立ててきたわけですね。
個の質をどう組み合わせていくかで、チームの理想が決まると思っています。もちろん、質の高いサッカーを目指しますが、現実的にチームに合うやり方も探さなければいけないということです。
――3連敗の後にパスサッカーを捨てたというか、前線に素早く当てるスタイルに変えた印象があります。
確かに変えました。後ろからつなぐサッカーもできれば良いと思っていましたが、それよりもうちの一番のストロングポイントを活かす方向に舵を切りました。中原(貴之)ら前線の選手たちの特長を考えると、ボールを前に入れて勢いを持って押し込んだほうが、チーム全体のパフォーマンスが上がりますからね。
――開幕当初に比べて、守備も安定した印象です。
開幕3試合で7失点した後、大幅に修正しました。前から行くのか、引くのかハッキリしなかったので、ブロックを作ってオーガナイズしていこうと。少し守ってカウンター的なサッカーに切り換えられたことが、流れを掴めた要因だったと思います。
――「攻守にアグレッシブなチームを作りたい」とも話していましたが、その点については?
開幕の頃よりは、攻守に渡ってアグレッシブになった実感があります。夏場の厳しい時期は多少戦術を変えながらではありましたが、そのなかでもやれる範囲のアグレッシブな守備や攻撃はできた。今はチームとして高いアベレージを保てていると思います。