「大事なのは、クラブスタイルと自分のスタイルをうまく融合できるか」
柏のミルトン・メンデス新監督が1月13日、日立柏サッカー場内で就任会見を行なった。
「コンニチハ」と日本語で挨拶をしながら会見場に現われた新指揮官は、柔らかな口調で、時に冗談を交えながら、会見を進めた。質疑応答では、質問する記者一人ひとりの名前を丁寧にメモしながら応答。“教師のように理知的なコミュニケーション能力に優れるモチベーター”との前評判どおりで、さらにフランクで紳士的な印象だった。しかし、戦術について話が及ぶと真剣な顔付きになり、これまでベールに包まれていた自身の思考について口にした。
ポルトガルで監督としてのキャリアをスタートさせ、ヨーロッパ最高レベルの「UEFAプロライセンス」を持つメンデス監督は、「グラウンドを、ディフェンス、中盤、オフェンスの3つに分けて考え、オフェンスゾーンになるべく早くボールを運ぶ」スタイルを標榜する。
そして、「年末に試合を観戦した時に、ポゼッション力があり、ボールを上手く回すが、ゴールに向かうアグレッシブさが足りないと感じた」とチームの課題を指摘。「大事なのは、クラブスタイルと自分のスタイルをうまく融合できるか」と、柏が下部組織から一貫しているポゼッションスタイルを活かしつつ、自身のスタイルを融合させ、前へのアグレッシブさをもたらすことを強調した。
そのなかで、「システムは『4-2-3-1』。これは中盤の配置を変えて『4-1-4-1』に、サイドハーフを前に出すことで『4-3-3』にもなる。ひとつのシステムで戦うつもりはない、様々なシステムを取り入れてやっていく」と、状況に応じて柔軟な戦術変更をしていくことも示唆している。
「哲学は『戦術と実践』。試合のなかで重要な5つの瞬間がある。1.ディフェンス時(ディフェンスラインを高く保つのか、低くするのか)、2.ディフェンスから前に出る時(早くボールを運ぶのか、ビルドアップしながら進んでいくのか)、3.攻撃を仕掛ける時(相手ディフェンスをどう崩すか)、4.攻撃から守備に流れる時(相手陣地からプレスをかけるのか、引いて固めるのか)、5.FKなどのセットプレー。これを大切にしながらチームを構築したい。選手には、5つの瞬間で『やらなければいけないこと』を落とし込み、それぞれが『やれること』を実践してほしい」
既存のチームスタイルと自身のスタイルの融合、柔軟なシステム変更、戦略的な発想。メンデス監督はこの会見で、モチベーターとしてだけではなく、戦術家としての顔も垣間見せた。MLS挑戦を決意したエース工藤壮人や、昨季チーム内得点王クリスティアーノの退団など主力放出が相次ぐチームを、いかにして導いて行くのか。今季、柏の命運を握るブラジル人指揮官の手腕に注目だ。
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
「コンニチハ」と日本語で挨拶をしながら会見場に現われた新指揮官は、柔らかな口調で、時に冗談を交えながら、会見を進めた。質疑応答では、質問する記者一人ひとりの名前を丁寧にメモしながら応答。“教師のように理知的なコミュニケーション能力に優れるモチベーター”との前評判どおりで、さらにフランクで紳士的な印象だった。しかし、戦術について話が及ぶと真剣な顔付きになり、これまでベールに包まれていた自身の思考について口にした。
ポルトガルで監督としてのキャリアをスタートさせ、ヨーロッパ最高レベルの「UEFAプロライセンス」を持つメンデス監督は、「グラウンドを、ディフェンス、中盤、オフェンスの3つに分けて考え、オフェンスゾーンになるべく早くボールを運ぶ」スタイルを標榜する。
そして、「年末に試合を観戦した時に、ポゼッション力があり、ボールを上手く回すが、ゴールに向かうアグレッシブさが足りないと感じた」とチームの課題を指摘。「大事なのは、クラブスタイルと自分のスタイルをうまく融合できるか」と、柏が下部組織から一貫しているポゼッションスタイルを活かしつつ、自身のスタイルを融合させ、前へのアグレッシブさをもたらすことを強調した。
そのなかで、「システムは『4-2-3-1』。これは中盤の配置を変えて『4-1-4-1』に、サイドハーフを前に出すことで『4-3-3』にもなる。ひとつのシステムで戦うつもりはない、様々なシステムを取り入れてやっていく」と、状況に応じて柔軟な戦術変更をしていくことも示唆している。
「哲学は『戦術と実践』。試合のなかで重要な5つの瞬間がある。1.ディフェンス時(ディフェンスラインを高く保つのか、低くするのか)、2.ディフェンスから前に出る時(早くボールを運ぶのか、ビルドアップしながら進んでいくのか)、3.攻撃を仕掛ける時(相手ディフェンスをどう崩すか)、4.攻撃から守備に流れる時(相手陣地からプレスをかけるのか、引いて固めるのか)、5.FKなどのセットプレー。これを大切にしながらチームを構築したい。選手には、5つの瞬間で『やらなければいけないこと』を落とし込み、それぞれが『やれること』を実践してほしい」
既存のチームスタイルと自身のスタイルの融合、柔軟なシステム変更、戦略的な発想。メンデス監督はこの会見で、モチベーターとしてだけではなく、戦術家としての顔も垣間見せた。MLS挑戦を決意したエース工藤壮人や、昨季チーム内得点王クリスティアーノの退団など主力放出が相次ぐチームを、いかにして導いて行くのか。今季、柏の命運を握るブラジル人指揮官の手腕に注目だ。
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)