第2ステージに向けて「切り替えるのが大変ですけど頑張る」。
ステージ優勝がかかった福岡戦の前日練習には、鹿島のOBである内田篤人と大迫勇也が参加した。
練習の最後には、チーム全員が加わるミニゲームが行なわれ、ふたりも大いにハッスル。リハビリ中の内田がルーズボールにヘディングで競り合い、何度も何度もタックルを試みれば、大迫もカイオに細かく鋭いステップでボールにプレッシャーをかけていく。
古巣で行なう久々のゲーム形式の練習に、内田と大迫も思わず熱を帯びる。その様子にチーム全体が触発されて、「今までのなかで一番激しいレクリエーションゲームなんじゃないか」(石井正忠監督)というくらいの盛り上がりを見せた。
しかし、彼ら以上に大はしゃぎしながらプレーしていた選手がひとり。大迫のプレスを「ケルン! ケルン! ケルンのプレス!」とはやし立て、チャンスが来ると「来た! 来た!」と口に出し、ゴールを決めると「ウェ~イ!」と誰よりも大喜びする。
天真爛漫な金崎夢生の姿からは、優勝争いのプレッシャーなど皆無だった。
実際、福岡戦でのパフォーマンスはいつもの金崎だった。37分には名古屋でともに優勝を経験したダニルソンを出し抜いて、右サイドの深い位置からペナルティエリアに侵入。DFから離れる動きでマークを外した土居聖真へマイナスのパスを通し、チーム2点目のゴールをアシストした。
相手の粘りもあり、突破の成功率こそそこまで高くなかったが、ボールを持てば前を向いて果敢に仕掛ける姿勢を90分続けた金崎は、試合を通して鹿島の攻撃を牽引した。
普段の言動だけに目を向ければ、最も鹿島らしくない選手かもしれない。しかし、実際は正反対だ。“弟分”の鈴木優磨は、鹿島の哲学についても「分かっていると思う」とうなずく。
「あの人は、いつも『俺はジーコスピリットは分からない』と言っている。それは正直な気持ちだと思うんですよ。でも、分かっていると思う。口では言わないけれど、しっかりやることはやっている。
そういう部分を分かっていない人は、ただふざけているだけに思うかもしれないですけど、チームのみんな分かっているんですよ。やっているところはやっている。だから人望も厚い」
代表期間中のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)でチームが不甲斐ない試合を演じると、本気で怒りを露わにした。内容が伴わない試合があると、「どこがよくなかった?」と必ず出場したチームメイトに逆質問してきた。それもすべてはタイトルに懸ける思いが強いから。鈴木は、そうした金崎の姿から去年と違うものを感じ取っていた。
「口ではそんなに言っていない。でも、去年1年間一緒にやりましたけど、優勝したいという気持ちは、今年の方が強いのが一緒にいて伝わってくる」
そして手に入れた第1ステージ優勝。金崎は、成果を手にできたことを喜びながら、すぐに始まる第2ステージに向けて「切り替えるのが大変ですけど頑張る」と話した。どんなパフォーマンスを見せるか今から楽しみだ。
取材・文:田中 滋(フリーライター)
練習の最後には、チーム全員が加わるミニゲームが行なわれ、ふたりも大いにハッスル。リハビリ中の内田がルーズボールにヘディングで競り合い、何度も何度もタックルを試みれば、大迫もカイオに細かく鋭いステップでボールにプレッシャーをかけていく。
古巣で行なう久々のゲーム形式の練習に、内田と大迫も思わず熱を帯びる。その様子にチーム全体が触発されて、「今までのなかで一番激しいレクリエーションゲームなんじゃないか」(石井正忠監督)というくらいの盛り上がりを見せた。
しかし、彼ら以上に大はしゃぎしながらプレーしていた選手がひとり。大迫のプレスを「ケルン! ケルン! ケルンのプレス!」とはやし立て、チャンスが来ると「来た! 来た!」と口に出し、ゴールを決めると「ウェ~イ!」と誰よりも大喜びする。
天真爛漫な金崎夢生の姿からは、優勝争いのプレッシャーなど皆無だった。
実際、福岡戦でのパフォーマンスはいつもの金崎だった。37分には名古屋でともに優勝を経験したダニルソンを出し抜いて、右サイドの深い位置からペナルティエリアに侵入。DFから離れる動きでマークを外した土居聖真へマイナスのパスを通し、チーム2点目のゴールをアシストした。
相手の粘りもあり、突破の成功率こそそこまで高くなかったが、ボールを持てば前を向いて果敢に仕掛ける姿勢を90分続けた金崎は、試合を通して鹿島の攻撃を牽引した。
普段の言動だけに目を向ければ、最も鹿島らしくない選手かもしれない。しかし、実際は正反対だ。“弟分”の鈴木優磨は、鹿島の哲学についても「分かっていると思う」とうなずく。
「あの人は、いつも『俺はジーコスピリットは分からない』と言っている。それは正直な気持ちだと思うんですよ。でも、分かっていると思う。口では言わないけれど、しっかりやることはやっている。
そういう部分を分かっていない人は、ただふざけているだけに思うかもしれないですけど、チームのみんな分かっているんですよ。やっているところはやっている。だから人望も厚い」
代表期間中のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)でチームが不甲斐ない試合を演じると、本気で怒りを露わにした。内容が伴わない試合があると、「どこがよくなかった?」と必ず出場したチームメイトに逆質問してきた。それもすべてはタイトルに懸ける思いが強いから。鈴木は、そうした金崎の姿から去年と違うものを感じ取っていた。
「口ではそんなに言っていない。でも、去年1年間一緒にやりましたけど、優勝したいという気持ちは、今年の方が強いのが一緒にいて伝わってくる」
そして手に入れた第1ステージ優勝。金崎は、成果を手にできたことを喜びながら、すぐに始まる第2ステージに向けて「切り替えるのが大変ですけど頑張る」と話した。どんなパフォーマンスを見せるか今から楽しみだ。
取材・文:田中 滋(フリーライター)