金崎の行為に対して、どう感じるかは指導者によって違うはずだ。
クラブ内で監督と衝突した鹿島アントラーズの金崎夢生に対し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は無期限で代表から追放する話をほのめかした。チームの和を重視しての判断とはいえ、ワールドカップアジア2次予選で結果を残していたアタッカーの不在はプラスではない。この判断は妥当なのか。サッカージャーナリストの後藤健生氏に見解を伺った。
(『サッカーダイジェスト』9月22日号74・75ページ「THE JUDGE」より抜粋)
――◆――◆――
甚だ、不可解な話である。
まずお断りしておきたいのだが、僕はこの件に関して特別に取材をしたわけでも、関係者の話を聞いたわけでもない。知っているのは読者のみなさんと同じく報道されている範囲のことだけであり、それ以上はすべて僕の想像だ。
まず、交代を命じられて不満を示した金崎の行為についてだが、一般的に言えば、選手にはそれくらいの気持ちの強さがあっていいと思う。その不満の示し方が過剰だったような気はするが、その辺りは金崎という選手の個性なのだろう。
問題は指導者の側がそれをどう感じるかである。
ある種の指導者は、絶対に許さないだろうが、フィリップ・トルシエだったら、むしろ「日本人選手が感情を表わしたこと」を喜んだかもしれない。ジョゼ・モウリーニョだったら腹の中が煮えくり返っていてもメディアの前では選手を庇うだろう。
だが、ハリルホジッチは最終予選に臨む日本代表メンバーの発表という注目を集める公式の場で、わざわざ金崎に言及した。
もし、ハリルホジッチ発言がなかったら、事件は鹿島のサポーター以外にはあまり興味を持たれないまま終わっていただろうに、発言のおかげで日本中の耳目を集め、石井正忠監督の休養騒ぎにまで発展してしまった(石井監督自身は休養との関係を否定しているが)。
そもそも、石井監督と金崎の間で問題は決着していたのだ。クラブも処分を科すことなく、金崎はその後も普通に試合に出場している。
それを、なぜハリルホジッチ監督がわざわざ言及したのだろうか?
他の選手に対するメッセージだった可能性もある。
もし、こういう形で警告をしなければチーム内の統制が取れないと監督が感じているのだとすれば大問題だが、僕はそういう意図だとは思わない。「ハリルホジッチらしいな」というのが率直な感想である。
(『サッカーダイジェスト』9月22日号74・75ページ「THE JUDGE」より抜粋)
――◆――◆――
甚だ、不可解な話である。
まずお断りしておきたいのだが、僕はこの件に関して特別に取材をしたわけでも、関係者の話を聞いたわけでもない。知っているのは読者のみなさんと同じく報道されている範囲のことだけであり、それ以上はすべて僕の想像だ。
まず、交代を命じられて不満を示した金崎の行為についてだが、一般的に言えば、選手にはそれくらいの気持ちの強さがあっていいと思う。その不満の示し方が過剰だったような気はするが、その辺りは金崎という選手の個性なのだろう。
問題は指導者の側がそれをどう感じるかである。
ある種の指導者は、絶対に許さないだろうが、フィリップ・トルシエだったら、むしろ「日本人選手が感情を表わしたこと」を喜んだかもしれない。ジョゼ・モウリーニョだったら腹の中が煮えくり返っていてもメディアの前では選手を庇うだろう。
だが、ハリルホジッチは最終予選に臨む日本代表メンバーの発表という注目を集める公式の場で、わざわざ金崎に言及した。
もし、ハリルホジッチ発言がなかったら、事件は鹿島のサポーター以外にはあまり興味を持たれないまま終わっていただろうに、発言のおかげで日本中の耳目を集め、石井正忠監督の休養騒ぎにまで発展してしまった(石井監督自身は休養との関係を否定しているが)。
そもそも、石井監督と金崎の間で問題は決着していたのだ。クラブも処分を科すことなく、金崎はその後も普通に試合に出場している。
それを、なぜハリルホジッチ監督がわざわざ言及したのだろうか?
他の選手に対するメッセージだった可能性もある。
もし、こういう形で警告をしなければチーム内の統制が取れないと監督が感じているのだとすれば大問題だが、僕はそういう意図だとは思わない。「ハリルホジッチらしいな」というのが率直な感想である。