「まったく、あんな練習はしていないんですけど」(奥井)。
[J1・第2ステージ14節]
鹿島アントラーズ 1-3 大宮アルディージャ
2016年10月1日/県立カシマサッカースタジアム
家長の折り返しを、中央で待つムルジャが後方に落とし、走りこんできた大山が左足で思い切り叩く。鹿島ゴールに向かって勢いよく転がるボールは、“SB”の奥井の足下へ。
奥井は相手DFを背負っていたが、ファーストタッチで前を向くと、すかさず右足を振り抜いて逆サイドのネットを揺らす。一連の動作は淀みがなく、マークについていた鹿島の山本は文字通り、なにもできなかった。
山本の足が届かないように、なおかつすぐシュート態勢に入れるところにボールを置いたトラップ。これがすべてだった。まるでストライカーのような見事なターンを見せた奥井は、「自分でもビックリ」と驚きを隠さない。
「ファーストタッチで良いところに置けた。まったく、あんな練習はしていないんですけど、うまくできて良かった」
しかし、なぜDFである奥井が、相手ゴールに最も近い場所にいたのか。
「監督からは、ゴール前にはどんどん入っていけと言われています」
その意識は常に持っていたが、むやみやたらと入っていくわけにはいかない。周りの状況をよく見て、タイミングを見計らってエリア内への侵入を試みる。
それができたのは、背番号41のおかげだった。
「アキさん(家長)がサイドに流れて、起点を作ってくれたことで、僕が中に入っていける時間とスペースができた。それが一番大きかった」
実は、奥井は“攻め残り”していた。ゴールシーンのひとつ前のプレーでは、ピッチ中央からの大山のロングパスに抜け出した家長が、アウトになりそうなボールをラインぎりぎりで拾い、右サイドの深い位置でキープ。この間に奥井はダッシュでゴール前に走り込んだ。
そして家長は、フワリと浮かしたクロスを供給。これはクリアされるも、ボールは再び、家長のもとへ。奥井はまだ中でスタンバイ。家長はそこでゆっくりと時間をかけながら、冒頭で記したように中へと折り返し、奥井のファインゴールが生まれた。
自身の先制点が呼び水となり、最終的には3ゴールを奪い、鹿島を下した大宮は年間勝点50に到達。開幕前に目標に掲げていた「勝点48」をクリアし、「すごく大きいこと」と安堵した奥井は、残り3試合に向け、「まだまだ上に行ける3試合だと思う」と、さらなる飛躍を目指して戦い続けることを誓った。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
鹿島アントラーズ 1-3 大宮アルディージャ
2016年10月1日/県立カシマサッカースタジアム
家長の折り返しを、中央で待つムルジャが後方に落とし、走りこんできた大山が左足で思い切り叩く。鹿島ゴールに向かって勢いよく転がるボールは、“SB”の奥井の足下へ。
奥井は相手DFを背負っていたが、ファーストタッチで前を向くと、すかさず右足を振り抜いて逆サイドのネットを揺らす。一連の動作は淀みがなく、マークについていた鹿島の山本は文字通り、なにもできなかった。
山本の足が届かないように、なおかつすぐシュート態勢に入れるところにボールを置いたトラップ。これがすべてだった。まるでストライカーのような見事なターンを見せた奥井は、「自分でもビックリ」と驚きを隠さない。
「ファーストタッチで良いところに置けた。まったく、あんな練習はしていないんですけど、うまくできて良かった」
しかし、なぜDFである奥井が、相手ゴールに最も近い場所にいたのか。
「監督からは、ゴール前にはどんどん入っていけと言われています」
その意識は常に持っていたが、むやみやたらと入っていくわけにはいかない。周りの状況をよく見て、タイミングを見計らってエリア内への侵入を試みる。
それができたのは、背番号41のおかげだった。
「アキさん(家長)がサイドに流れて、起点を作ってくれたことで、僕が中に入っていける時間とスペースができた。それが一番大きかった」
実は、奥井は“攻め残り”していた。ゴールシーンのひとつ前のプレーでは、ピッチ中央からの大山のロングパスに抜け出した家長が、アウトになりそうなボールをラインぎりぎりで拾い、右サイドの深い位置でキープ。この間に奥井はダッシュでゴール前に走り込んだ。
そして家長は、フワリと浮かしたクロスを供給。これはクリアされるも、ボールは再び、家長のもとへ。奥井はまだ中でスタンバイ。家長はそこでゆっくりと時間をかけながら、冒頭で記したように中へと折り返し、奥井のファインゴールが生まれた。
自身の先制点が呼び水となり、最終的には3ゴールを奪い、鹿島を下した大宮は年間勝点50に到達。開幕前に目標に掲げていた「勝点48」をクリアし、「すごく大きいこと」と安堵した奥井は、残り3試合に向け、「まだまだ上に行ける3試合だと思う」と、さらなる飛躍を目指して戦い続けることを誓った。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)