岡崎が日本代表で「ベンチから若い選手を見ていて気付かされた」こと

カテゴリ:海外日本人

白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

2016年11月21日

チームのために献身的に働くも「ジレンマ」も…。

11月の代表戦はいずれもベンチスタート。しかし岡崎は、この経験から大きなモノを得たという。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 レスター所属の岡崎慎司は現地時間11月19日、プレミアリーグ12節のワトフォード戦で先発出場。先に2ゴールを奪われる苦しい試合となるも、ジェイミー・ヴァーディーのPK奪取に繋がる見事なパスを通すなど、68分にベンチに退くまで精力的なパフォーマンスを見せた。
 
 1-2で敗れた試合後のミックスゾーンでは、「ここ最近はチームのことを考えすぎていて、自分の特長が出せていなかった。だから、外されてもいいくらいの気持ちで開き直って、自分の感覚で勝負した」と語った岡崎。昨夏に加入したレスターでは、チームのために身を粉にして戦う姿勢が評価されてきたが、そもそもこのプレースタイルの源流はブラジル・ワールドカップで直面した現実(1分け2敗でグループステージ敗退)にあったという。
 
「思い返せば、かつての日本代表にはたくさん素晴らしいパサーがいて、俺はそれに合わせてガムシャラに飛び込んでいけば点が取れるような流れがあった。でも、ブラジル・ワールドカップで、『良いパスが入ってこないと自分は何もできない』ってことを痛感した。そこからは引き出しを増やすことを考えてやってきた」
 
 たしかに岡崎は、以前から運動量豊富なムービング型のFWだったが、近年はサイドに開いたり2ライン(DFとMF)間に下がって起点を作ったり、仲間にスペースを作るようなチームファーストの動きがより増え、“ハードワーカー”、“黒子”というイメージをますます強めていった。
 
 しかし、それによって裏への抜け出しやゴール前への飛び込みなど、フィニッシュに絡むそもそもの特長が埋没。そこに小さくないジレンマを感じていたのだという。
 
「代表でもずっと最前線を任せてもらっていたけど、チームのことばかり考えて、自分の感覚を見失っていた部分があった。持ち味が宙ぶらりんというか……」
 
 そんな中、ワトフォード戦でこれまでとプレースタイルを変える思い切った決断のバックボーンとなったのが、先の日本代表での経験だ。11月11日のオマーン戦、15日のサウジアラビア戦でいずれも先発落ちし、前者は61分、後者は94分からの途中出場に終わったが、岡崎はこの2試合を「すごく良い刺激になった」と振り返った。
 
「2試合ともベンチから試合を見ていて、とくに若い選手を眺めていて、改めて『ここ何年も思い切ってやれてないなって』って思ったんですよね。チームのためにやってきたけど、それだけじゃあ駄目だって。若い選手が入ってきてありがたいですよ。俺も(あまり考えすぎず)思い切ってやればいいんだって気付かされた」
 
 チームのために、勝利のためにと意識するあまり、失っていた本来の野性的な感覚、そしてゴールへの渇望を取り戻したい――。
 
 岡崎はそれこそがレスターでイスラム・スリマニ、日本代表で大迫勇也との熾烈な定位置争いを制する、そして歓喜に繋がる鍵になると信じている。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
 
 
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