2人の運命がどこかで絡み合うかもしれない。
連勝記録は「13」で止まったとはいえ、チェルシーは20節を終えたプレミアリーグで2位リバプールに5ポイント差を付けての首位。サポーターは新監督のアントニオ・コンテに夢中になっている。イタリア人指揮官がスタンフォード・ブリッジの心を鷲掴みにしたことは間違いない。
しかしコンテ自身は、クラブの補強戦略について少なからず不満を持っている。シーズン半ばにたった一度だけチームの構成を見直す機会であるこの時期、コンテは戦力がプラスにこそなれマイナスにならないよう、焦燥感に駆られながらクラブの動きを見守っている。
ベンチ要員とはいえ実績十分のオスカールとジョン・オビ・ミケルを中国に放出する一方、獲得は若手のネイサン・アケーをボーンマスからレンタルバックさせただけという現時点における冬のメルカートの収支は、明らかにマイナスに傾いている。
もしクラブと意見が合わず対立することになったら、コンテは夏にチームを去るのだろうか? 今の時点ではそれを想定すること自体馬鹿げているかもしれない。
しかし、万が一そうなった時には、後任の椅子を虎視眈々と狙っている存在がいる。ここ数か月の間に、何人もエージェントを変えながらチェルシー・オーナーのロマン・アブラモビッチにアプローチする術を探っている、現ユベントス監督のマッシミリアーノ・アッレグリだ。
ミランとユーベで計3回のスクデットを獲得したアッレグリは、新たな刺激、新たな活躍の舞台を求め始めている。コンテをはじめジョゼップ・グアルディオラ、ジョゼ・モウリーニョ、ユルゲン・クロップなど世界中から名将が集結するプレミアリーグは、その最も相応しい場所だ。
現時点でチェルシーにコンテを手放すつもりはないだろうが、その一方でアッレグリが来シーズンもトリノに残るという保証はない。2人の運命がどこでどう絡み合うのかは、まだ誰にもわからない。
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
しかしコンテ自身は、クラブの補強戦略について少なからず不満を持っている。シーズン半ばにたった一度だけチームの構成を見直す機会であるこの時期、コンテは戦力がプラスにこそなれマイナスにならないよう、焦燥感に駆られながらクラブの動きを見守っている。
ベンチ要員とはいえ実績十分のオスカールとジョン・オビ・ミケルを中国に放出する一方、獲得は若手のネイサン・アケーをボーンマスからレンタルバックさせただけという現時点における冬のメルカートの収支は、明らかにマイナスに傾いている。
もしクラブと意見が合わず対立することになったら、コンテは夏にチームを去るのだろうか? 今の時点ではそれを想定すること自体馬鹿げているかもしれない。
しかし、万が一そうなった時には、後任の椅子を虎視眈々と狙っている存在がいる。ここ数か月の間に、何人もエージェントを変えながらチェルシー・オーナーのロマン・アブラモビッチにアプローチする術を探っている、現ユベントス監督のマッシミリアーノ・アッレグリだ。
ミランとユーベで計3回のスクデットを獲得したアッレグリは、新たな刺激、新たな活躍の舞台を求め始めている。コンテをはじめジョゼップ・グアルディオラ、ジョゼ・モウリーニョ、ユルゲン・クロップなど世界中から名将が集結するプレミアリーグは、その最も相応しい場所だ。
現時点でチェルシーにコンテを手放すつもりはないだろうが、その一方でアッレグリが来シーズンもトリノに残るという保証はない。2人の運命がどこでどう絡み合うのかは、まだ誰にもわからない。
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。