「年間予算が68倍もの相手にどうやったら勝てるのか」
人口14億人の「大国」が相変わらず騒がしい。この冬の移籍市場でも話題の中心で驀進し続けた。
6000万ユーロ(約74億円)もの移籍金で現役ブラジル代表を買ったと思えば、職場を欧州から自国へと戻した元アルゼンチン代表をも世界最高年俸で引っ張り出してみたり。また彼らを追随するように世界のビッグネームが連日中国移籍の話題でメディアを賑わせた。どれだけバブリーなんだ……、もう気にせずにいられないレベルの話だ。
3月4日に迫った中国スーパーリーグ(以下、超級リーグ)開幕を控えたこのタイミングで、上海上港と上海申花が揃ってAFCアジア・チャンピオンズリーグ(以下、ACL)本選出場を掛けたプレーオフへ出場することは知っていた。ならば現地へ行ってそのチャイナバブルを体感してみようじゃないかと急遽上海への渡航を決めたのである。
しかしだ、春節休暇の影響で連日連便満席が続き、エアーチケットが取れない。なんとか成田発上海浦東行きの日系便で飛ぶことができたのだが、機内は大陸へ帰る群衆でジャックされて、筆者までもが北京語で飲み物を聞かれた時には大人げなくもイラっとしてしまった。この上海取材、なんとも落ち着かない機上となったことは言うまでもない。
スタジアムを彩る美人小姐 in上海
2017年2月7日(火)
上海上港FC vs. スコータイFC(タイ)@上海体育場
遡ること8年半前、若き日のメッシと同じ匂いを嗅ぎたい一心で、勢い余って乗り込んだ北京オリンピック以来の上海体育場だ。
最寄りの地下鉄駅から地上へ出てスタジアムを見上げた瞬間、当時行きつけだった仙霞路にある日式KTVの小姐に無理に頼んで用意してもらった高額なチケットを握りしめ、ドリームチームを観に来たことを何故だか思い出してしまった。
上海上港のラインナップは、フッキ、オスカール、エウケソンのブラジル人トリオを軸とした強力助っ人陣に、中国人選手最高額の移籍金ホルダーといわれるウー・レイや、ツァイ・フイカン、ヤン・ジュンリン、シ・ケなどの中国代表が揃う豪華な布陣だ。ACL初出場を果たした昨年、準々決勝で覇者・全北現代に敗れた悔しさは相当なものだったに違いない。超級リーグとACL制覇へ向け“爆買い”補強を行なった経緯もそこにあるのだろう。彼らは間違いなく本気である。
対する気温差30℃のタイから乗り込んできたスコータイもさらさら負ける気は無いようだった。地元タイメディアの中には「年間予算が68倍もの相手にどうやったら勝てるのか」と悲観的な報道も目にしたが、チームはそんなことお構いなしである。
試合当日の朝、チーム関係者の話によると、入国査証が下りずに動けずにいた数名の外国人選手が、試合前日になんとかチームに合流できたらしい。身内からしてみれば死活問題なのだろうが、国際試合だからこそ起こる“場外戦”裏話を聞いて、盛り上がらずにいた筆者の心のスイッチが一気にオンになったのだった。
マルチェロ・リッピ中国代表監督が視察に訪れた試合は、両チームともに幾度ものチャンスを掴むが、どちらもモノにできずに進むなか、スコータイの選手が負傷しプレーに関与していない“5分”の間に、オスカール&エウケソンのコンビで2点を奪取してしまった上海上港が抜け目なさを発揮し折り返す。また後半にも追加点を奪った上海上港が3-0で勝利し本選出場を決めた。
新シーズンを待ち焦がれていた上海上港ファンが詰めかけたスタジアムで75分に響き渡ったアナウンス、公式入場者数は25,860人であった。しかしそこまでは入っていないように感じたのは何故だろうか。あくまでも筆者の目測ではあるのだが。
6000万ユーロ(約74億円)もの移籍金で現役ブラジル代表を買ったと思えば、職場を欧州から自国へと戻した元アルゼンチン代表をも世界最高年俸で引っ張り出してみたり。また彼らを追随するように世界のビッグネームが連日中国移籍の話題でメディアを賑わせた。どれだけバブリーなんだ……、もう気にせずにいられないレベルの話だ。
3月4日に迫った中国スーパーリーグ(以下、超級リーグ)開幕を控えたこのタイミングで、上海上港と上海申花が揃ってAFCアジア・チャンピオンズリーグ(以下、ACL)本選出場を掛けたプレーオフへ出場することは知っていた。ならば現地へ行ってそのチャイナバブルを体感してみようじゃないかと急遽上海への渡航を決めたのである。
しかしだ、春節休暇の影響で連日連便満席が続き、エアーチケットが取れない。なんとか成田発上海浦東行きの日系便で飛ぶことができたのだが、機内は大陸へ帰る群衆でジャックされて、筆者までもが北京語で飲み物を聞かれた時には大人げなくもイラっとしてしまった。この上海取材、なんとも落ち着かない機上となったことは言うまでもない。
スタジアムを彩る美人小姐 in上海
2017年2月7日(火)
上海上港FC vs. スコータイFC(タイ)@上海体育場
遡ること8年半前、若き日のメッシと同じ匂いを嗅ぎたい一心で、勢い余って乗り込んだ北京オリンピック以来の上海体育場だ。
最寄りの地下鉄駅から地上へ出てスタジアムを見上げた瞬間、当時行きつけだった仙霞路にある日式KTVの小姐に無理に頼んで用意してもらった高額なチケットを握りしめ、ドリームチームを観に来たことを何故だか思い出してしまった。
上海上港のラインナップは、フッキ、オスカール、エウケソンのブラジル人トリオを軸とした強力助っ人陣に、中国人選手最高額の移籍金ホルダーといわれるウー・レイや、ツァイ・フイカン、ヤン・ジュンリン、シ・ケなどの中国代表が揃う豪華な布陣だ。ACL初出場を果たした昨年、準々決勝で覇者・全北現代に敗れた悔しさは相当なものだったに違いない。超級リーグとACL制覇へ向け“爆買い”補強を行なった経緯もそこにあるのだろう。彼らは間違いなく本気である。
対する気温差30℃のタイから乗り込んできたスコータイもさらさら負ける気は無いようだった。地元タイメディアの中には「年間予算が68倍もの相手にどうやったら勝てるのか」と悲観的な報道も目にしたが、チームはそんなことお構いなしである。
試合当日の朝、チーム関係者の話によると、入国査証が下りずに動けずにいた数名の外国人選手が、試合前日になんとかチームに合流できたらしい。身内からしてみれば死活問題なのだろうが、国際試合だからこそ起こる“場外戦”裏話を聞いて、盛り上がらずにいた筆者の心のスイッチが一気にオンになったのだった。
マルチェロ・リッピ中国代表監督が視察に訪れた試合は、両チームともに幾度ものチャンスを掴むが、どちらもモノにできずに進むなか、スコータイの選手が負傷しプレーに関与していない“5分”の間に、オスカール&エウケソンのコンビで2点を奪取してしまった上海上港が抜け目なさを発揮し折り返す。また後半にも追加点を奪った上海上港が3-0で勝利し本選出場を決めた。
新シーズンを待ち焦がれていた上海上港ファンが詰めかけたスタジアムで75分に響き渡ったアナウンス、公式入場者数は25,860人であった。しかしそこまでは入っていないように感じたのは何故だろうか。あくまでも筆者の目測ではあるのだが。