ガンバ社長が謝罪会見で明かした「不適切フラッグ問題の顛末」

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年04月21日

60~70名が入場禁止も個人は特定できず。

迅速な対応を見せたG大阪の山内社長。だが本当の意味での対応力が問われるのはこれからだ。写真:川本学

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 4月21日、Jリーグ8節のガンバ大阪対大宮アルディージャ戦を前に、G大阪の山内隆司社長が会見を開き、一部サポーターによる政治的・宗教的な思想を連想させる不適切フラッグの使用について、クラブの管理不行き届きを謝罪した。
 
「Jリーグはもちろんサッカーを愛するファンの皆様に、この場を借りて深くお詫びします。今後このようなことが二度と起こらないよう、責任の重さを痛感し、対応にあたっていきたい」
 
 4月16日のセレッソ大阪戦において、一部サポーターの掲げたフラッグにナチス親衛隊を意味する「SS」に似た文字が刻まれていたのが、事の発端だ。その後、インターネット上で批判の的となって広まり、4月20日夕刻にようやくクラブとしてアクションを起こした。
 
 大宮戦の午前中、フラッグを使用したサポーターグループの代表者2名と山内社長らクラブスタッフが協議。双方が同意する形でグループに属する全員の無期限入場禁止が決まった。ただ、フラッグを掲げた人物の特定には至っておらず、「グループには特定してもらうように言っている。いずれにせよ、政治的思想の意味合いはなく、デザインの一環として使用したと聞いた」(山内社長)という。入場禁止の対象者は60~70名にのぼる。
 
 さらにクラブはHP上では、当面の間、ホーム・アウェーを問わず全公式戦での横断幕、ゲートフラッグなどの掲出物を禁止とすると発表。この判断について山内社長は「クラブとしての管理が甘かった。時間がかかるかもしれないが、サポーターの方々と話し合いの場を設けて、今後どう判断していくのかを協議していきたい」と話し、現時点で期限は設けないとした。
 
 2014年に浦和レッズのサポーターが「Japanese Only」の横断幕を使用したことが問題視され、最終的にはJリーグから無観客試合を課されるという重い処罰を受けた。この時点でG大阪をはじめ他のすべてのクラブは、Jリーグ側から再発防止を喚起された。問題になりそうな横断幕やフラッグ、ゲーフラなどを総点検するなかで、G大阪側は今回の問題を起こしたグループに「SS」を連想させる文字を発見。使用禁止を促し、以降は確認されなかったという。
 
 アウェーゲームでの使用だったとはいえ、クラブとして甘い対応だったと指摘されても反論はできないだろう。なんの罪もないファンやサポーターに規制をかけるという、本来あってはならない結果を招いたのだ。これから世界的な規模の問題に発展する可能性は否定できず、親会社であるパナソニックへの影響も懸念される。「すべてをつまびらかにして、厳粛な対応をしていきます」と話した山内社長。クラブとしての対応力が問われる。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

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