「ゴールには興味がない」と言った男の決勝点。
[ACLグループステージ5節]水原三星 0-1 川崎/4月25日/水原
ゴール直後の奈良竜樹は派手に喜んでいた。0-0で迎えた後半開始早々の48分。右サイドで得たFKを中村憲剛が蹴った場面だ。ファーサイドに飛んだこのボールを、高い打点で捉えた奈良のヘディングシュートが会心のゴールとなった。
ここで時間軸を少し巻き戻す。
J1リーグ8節の清水戦を前にした4月20日の練習後。その奈良にゴールについて聞いていた。清水戦でJ1リーグ通算2万ゴール目となる節目のメモリアルゴールが決まるのではないかと騒がれていたタイミングだった。
奈良は「俺、得点にはあまり興味ないので」と話していた。どれだけ本気の言葉なのかその真意を測りかねていたが、少なくとも狙ってゴールを取りに行くわけではないということは理解できた。そんな話を聞いていただけに、この水原戦でのゴール後の喜びようは微笑ましかった。もちろん、いくらゴールに興味がないとはいえ、そのゴールに価値があればあるほど喜ぶのは当然のこと。「ゴールに興味がない」と話した奈良にとっても、またチームにとっても重要なゴールだった。
その奈良は、水原戦を前に「絶対に勝ち取るサッカーというのをフロンターレとして体現できればいいかなと思います」と述べていた。そして「こういうシチュエーションというのを経験するのはなかなかないので。そういう状況を楽しみながら」プレーしたいと話していた。だから試合後に聞いてみた。試合を楽しめていたのかどうか。
「楽しもうとは常に考えていますが、今日の試合は意地と意地のぶつかり合いだったと思うし、楽しさよりも、厳しさだったり泥臭さだったり、そういう部分での試合になったと思う」
どうやら水原戦では、プレー中の状況を楽しむどころではなかったようだ。ただし、試合を振り返った時に「楽しかった」とも話している。試合を楽しむためには、苦しい思いをしてでも勝つ必要があるということだろう。
奈良はこの試合に向けてマイペースで調整してきた。前日練習後には、ピッチ上にスパイクを忘れ、この練習前に行なわれたミーティングには遅刻している。大一番を前に過度に入れ込まず、泰然自若として時間を過ごしていたことが窺える。
守備でも最終ラインを中心に水原を無失点に封じ込んだ。奈良にとっては攻守に大活躍の試合となった。
取材・文:江藤高志(川崎フットボールアディクト編集長)
ゴール直後の奈良竜樹は派手に喜んでいた。0-0で迎えた後半開始早々の48分。右サイドで得たFKを中村憲剛が蹴った場面だ。ファーサイドに飛んだこのボールを、高い打点で捉えた奈良のヘディングシュートが会心のゴールとなった。
ここで時間軸を少し巻き戻す。
J1リーグ8節の清水戦を前にした4月20日の練習後。その奈良にゴールについて聞いていた。清水戦でJ1リーグ通算2万ゴール目となる節目のメモリアルゴールが決まるのではないかと騒がれていたタイミングだった。
奈良は「俺、得点にはあまり興味ないので」と話していた。どれだけ本気の言葉なのかその真意を測りかねていたが、少なくとも狙ってゴールを取りに行くわけではないということは理解できた。そんな話を聞いていただけに、この水原戦でのゴール後の喜びようは微笑ましかった。もちろん、いくらゴールに興味がないとはいえ、そのゴールに価値があればあるほど喜ぶのは当然のこと。「ゴールに興味がない」と話した奈良にとっても、またチームにとっても重要なゴールだった。
その奈良は、水原戦を前に「絶対に勝ち取るサッカーというのをフロンターレとして体現できればいいかなと思います」と述べていた。そして「こういうシチュエーションというのを経験するのはなかなかないので。そういう状況を楽しみながら」プレーしたいと話していた。だから試合後に聞いてみた。試合を楽しめていたのかどうか。
「楽しもうとは常に考えていますが、今日の試合は意地と意地のぶつかり合いだったと思うし、楽しさよりも、厳しさだったり泥臭さだったり、そういう部分での試合になったと思う」
どうやら水原戦では、プレー中の状況を楽しむどころではなかったようだ。ただし、試合を振り返った時に「楽しかった」とも話している。試合を楽しむためには、苦しい思いをしてでも勝つ必要があるということだろう。
奈良はこの試合に向けてマイペースで調整してきた。前日練習後には、ピッチ上にスパイクを忘れ、この練習前に行なわれたミーティングには遅刻している。大一番を前に過度に入れ込まず、泰然自若として時間を過ごしていたことが窺える。
守備でも最終ラインを中心に水原を無失点に封じ込んだ。奈良にとっては攻守に大活躍の試合となった。
取材・文:江藤高志(川崎フットボールアディクト編集長)