J1復帰は布部監督の決断力次第と言っても過言ではなさそうだ。
終了間際の失点によって、4月15日から続けてきた連続無敗記録は11試合(5勝6分け)でストップ。だが、首位争いを演じる湘南との一戦で、京都はこの2か月の好調が偶然ではないことを印象づけた。
この試合で目を惹いたのが、京都の布部監督の采配だ。
前半の京都は、敵の長所を消す現実的なサッカーをすることによって、ゲームの主導権を握った。
湘南の特徴である、ボールを奪ってからの縦への速い攻撃を食い止め、ボールが奪えなくても外へとパスを誘導する。湘南はサイドアタックも強烈だが、時間をかけた大回りの攻撃ならゴール前の守備を整えることができる。
試合後の会見で布部監督に確認したが、こうした守備は狙い通りだったという。監督の意図がピッチ上にしっかりと表現されているところに、京都の成長や充実ぶりが感じられる。
後半は、両監督の駆け引きが見応えがあった。
前半リズムが掴めなかった湘南の曺監督は、選手交代によって4バックから3バックに変更。主導権を奪い返そうとする。両SBを中盤に押し上げ、一気に攻勢に出ようとした。
布部監督はどうするのかな? と思って見ていたら、守りを固めようとはせず、逆に真っ向から受けて立った。染谷に代えてボランチ経験がほとんどないFWエスクデロを投入。この大胆な采配によって、試合は激しいカウンターの応酬となる。
ただ最後は、曺監督が中盤に上げた杉岡が、見事なドリブルから決勝点を演出。布部采配は勝利につながらなかった。
試合後、布部監督に話を訊く機会があったが、そのときに柏でのヘッドコーチ時代、5年間仕えたネルシーニョ(現・神戸監督)について尋ねてみた。
布部監督は、ネルシーニョから学んだものがあるという。
「監督にとって大切なのは決断力だということです。チームを率いて、目の前の一つひとつの出来事について決断を下していく。そういう姿を見てきました」
そういえばこの試合の布部監督は、後半に湘南と打ち合うという大きな決断を下した。また守りで敵のリズムを崩していく現実的な采配も、ネルシーニョに共通している。
開幕ダッシュに失敗した京都だが、徐々にチームとして戦う形ができてきた。タレントはいるのだから、実に8年ぶりとなるJ1復帰は、布部監督の決断力次第といっても過言ではないだろう。
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)
この試合で目を惹いたのが、京都の布部監督の采配だ。
前半の京都は、敵の長所を消す現実的なサッカーをすることによって、ゲームの主導権を握った。
湘南の特徴である、ボールを奪ってからの縦への速い攻撃を食い止め、ボールが奪えなくても外へとパスを誘導する。湘南はサイドアタックも強烈だが、時間をかけた大回りの攻撃ならゴール前の守備を整えることができる。
試合後の会見で布部監督に確認したが、こうした守備は狙い通りだったという。監督の意図がピッチ上にしっかりと表現されているところに、京都の成長や充実ぶりが感じられる。
後半は、両監督の駆け引きが見応えがあった。
前半リズムが掴めなかった湘南の曺監督は、選手交代によって4バックから3バックに変更。主導権を奪い返そうとする。両SBを中盤に押し上げ、一気に攻勢に出ようとした。
布部監督はどうするのかな? と思って見ていたら、守りを固めようとはせず、逆に真っ向から受けて立った。染谷に代えてボランチ経験がほとんどないFWエスクデロを投入。この大胆な采配によって、試合は激しいカウンターの応酬となる。
ただ最後は、曺監督が中盤に上げた杉岡が、見事なドリブルから決勝点を演出。布部采配は勝利につながらなかった。
試合後、布部監督に話を訊く機会があったが、そのときに柏でのヘッドコーチ時代、5年間仕えたネルシーニョ(現・神戸監督)について尋ねてみた。
布部監督は、ネルシーニョから学んだものがあるという。
「監督にとって大切なのは決断力だということです。チームを率いて、目の前の一つひとつの出来事について決断を下していく。そういう姿を見てきました」
そういえばこの試合の布部監督は、後半に湘南と打ち合うという大きな決断を下した。また守りで敵のリズムを崩していく現実的な采配も、ネルシーニョに共通している。
開幕ダッシュに失敗した京都だが、徐々にチームとして戦う形ができてきた。タレントはいるのだから、実に8年ぶりとなるJ1復帰は、布部監督の決断力次第といっても過言ではないだろう。
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)