様々な距離、様々な角度で一直線に。
湘南ベルマーレの快進撃が止まらない。
4月29日、ホームでの京都サンガ戦にも3-0と快勝し、開幕からの連勝は10に伸びた。
得失点数も素晴らしい。1試合平均にすると得点3.1、失点0.4。1999年から始まったJ2のシーズン記録を紐解くと、シーズンの最多平均得点は2004年の川崎フロンターレ、08年のサンフレッチェ広島、13年のガンバ大阪が記録した2.36。最少平均失点は00年のコンサドーレ札幌が記録した0.55だ。シーズンはまだ序盤戦だが、得点、失点ともに記録を大きく上回っている。
曺貴裁(チョウ・キジェ)監督は「記録のためにプレーしているわけではない」と言うが、記録づくめのシーズンになるかもしれない。
いまの湘南は、見ていてほとんど負ける気がしない。守備に攻撃、体力に精神、そして采配……。すべてが充実している。
では、この湘南の最大の特徴は何か。ぼくはスプリントだと思う。Jリーグにはよく走るチームが多く、湘南もそのひとつだ。いわゆる走行距離はトップクラスではないかと思う。
だが湘南は、長い距離を走っているだけではない。
スタート直後の短距離ランナーのように、猛スピードでボールへ、前線へと駆け出していくプレーが非常に多いのだ。チャンスになると、何人もの選手が2列目、3列目から猛スピードで前線へと駆け上がっていく。敵の選手は次々と置き去りにされる。
湘南の選手は15メートル、30メートル、50メートルと様々な距離を、様々な角度で一直線にスプリントする。その様子は、まるで次々と矢が突き出されるかのようだ。テレビ観戦なら、ドン、ドン、ドドンと画面外から休みなく矢が飛び出してくるように見えるのではないか。
実はJ1昇格を果たした2年前から、湘南はスプリントするチームだった。昇格後に行なったインタビューで、曺監督は次のように語っている。
「大事なのはボール保持者に複数の選手が絡んでいくということ。数的優位で攻めろと言っています。飛び出し、追い越していくことでフリーの選手が生まれる」
「ハイスピードの動きを、いかに短い休みで連続できるかが勝負。最初はスプリントしたあとに1分の休みが必要でも、それを45秒、30秒、15秒に短縮する作業にトライしてきた。ガーンと出て行って、少しの休みで次にまたガーンと出て行く。そのハイスピードの動きの連続性こそが、我々に必要な体力なんだ」
ちなみに湘南では、走るだけのトレーニングはしていないという。体力は体力メニューで、戦術は戦術メニューでと分けるのではなく、つねにボールを使った実践的なメニューの中で、体力と戦術が身につけられるようなトレーニングを行なっている。
走れというと闇雲に走るチームも少なくないが、湘南の選手たちはいつ、どこで、どんなふうにスプリントするかを熟知している。それはすべてを複合的に落とし込んだメニューの賜物なのだ。
4月29日、ホームでの京都サンガ戦にも3-0と快勝し、開幕からの連勝は10に伸びた。
得失点数も素晴らしい。1試合平均にすると得点3.1、失点0.4。1999年から始まったJ2のシーズン記録を紐解くと、シーズンの最多平均得点は2004年の川崎フロンターレ、08年のサンフレッチェ広島、13年のガンバ大阪が記録した2.36。最少平均失点は00年のコンサドーレ札幌が記録した0.55だ。シーズンはまだ序盤戦だが、得点、失点ともに記録を大きく上回っている。
曺貴裁(チョウ・キジェ)監督は「記録のためにプレーしているわけではない」と言うが、記録づくめのシーズンになるかもしれない。
いまの湘南は、見ていてほとんど負ける気がしない。守備に攻撃、体力に精神、そして采配……。すべてが充実している。
では、この湘南の最大の特徴は何か。ぼくはスプリントだと思う。Jリーグにはよく走るチームが多く、湘南もそのひとつだ。いわゆる走行距離はトップクラスではないかと思う。
だが湘南は、長い距離を走っているだけではない。
スタート直後の短距離ランナーのように、猛スピードでボールへ、前線へと駆け出していくプレーが非常に多いのだ。チャンスになると、何人もの選手が2列目、3列目から猛スピードで前線へと駆け上がっていく。敵の選手は次々と置き去りにされる。
湘南の選手は15メートル、30メートル、50メートルと様々な距離を、様々な角度で一直線にスプリントする。その様子は、まるで次々と矢が突き出されるかのようだ。テレビ観戦なら、ドン、ドン、ドドンと画面外から休みなく矢が飛び出してくるように見えるのではないか。
実はJ1昇格を果たした2年前から、湘南はスプリントするチームだった。昇格後に行なったインタビューで、曺監督は次のように語っている。
「大事なのはボール保持者に複数の選手が絡んでいくということ。数的優位で攻めろと言っています。飛び出し、追い越していくことでフリーの選手が生まれる」
「ハイスピードの動きを、いかに短い休みで連続できるかが勝負。最初はスプリントしたあとに1分の休みが必要でも、それを45秒、30秒、15秒に短縮する作業にトライしてきた。ガーンと出て行って、少しの休みで次にまたガーンと出て行く。そのハイスピードの動きの連続性こそが、我々に必要な体力なんだ」
ちなみに湘南では、走るだけのトレーニングはしていないという。体力は体力メニューで、戦術は戦術メニューでと分けるのではなく、つねにボールを使った実践的なメニューの中で、体力と戦術が身につけられるようなトレーニングを行なっている。
走れというと闇雲に走るチームも少なくないが、湘南の選手たちはいつ、どこで、どんなふうにスプリントするかを熟知している。それはすべてを複合的に落とし込んだメニューの賜物なのだ。