J1昇格まであと一歩! V・ファーレン社長に訊いた「オフの大補強はありますか?」

2017年11月10日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

V・ファーレン長崎/髙田明社長インタビュー(後編)

「ジャパネットたかた」を日本有数の大企業に育て上げたように、髙田社長は長崎から新たなJクラブの形を提示する。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 Jクラブには、親会社とのしがらみに苦しむ社長がいれば、天下りのような形で無難に任期をやり過ごすトップもいる。そんななか、ビジネスの世界で辣腕をふるってきた叩き上げは異色で、日本のプロサッカー界に新風を吹き込んでくれるかもしれない。
 
 髙田明社長自身は、どんなところにポイントを見出しているのだろうか。
 
「時代は変わりました。ネット社会、グローバル化が進んで、秒単位で情報が世界中を駆け回る時代です。そのなかで、スポーツでもビジネスでも、求められているのはサプライズでしょう。昔は1年に1回で良かったものが、いまは随時お客さんに提供していく時代になりました。私は"能"の創始者である世阿弥が好きなんです。600年近く前に彼は、その後の能を発展させるために、『秘すれば花』という言葉を残した。一度世に出したものは、秘ではないから花にはなれない。新しい秘密の花を出しいかなければいけないんです。いろんな方の意見を聞きながら、私も新たなスタイルやサプライズを提供していきたいです」
 
 とはいえ、クラブ経営は一朝一夕で軌道に乗せられるほど生半可なものではない。当然、厳しさも理解している。
 
「長崎県内でのサッカーに対する注目度は正直、高いとはいえません。まずはV・ファーレンをちゃんと知ってもらわないといけないんです。そこについては投資をします。テレビの1時間番組を作ってもらうなど、メディアにも協力してもらいながら、大々的に進めていますよ。V・ファーレンは長崎のチームなんだと思ってもらわないと。県にひとつですからね。県全体で応援してもらいたいというのはあります」
 
 現在はジャパネットホールディングスが100%出資しており、屋台骨となっている。だがそれに頼るばかりなら未来はない、と考えている。
 
「倒産会社に近かったわけで、現在も貧乏所帯ですから、ぜんぜんお金はないですよ。とはいっても、ジャパネットに助けてもらっているのが常態化してはいけない。経営が安定化しても、ジャパネットのクラブであり続ければ、県の一体感は生まれません。ほかのスポンサーや後援会を巻き込んで一体になれるからこそ、県のクラブだという意識も強くなっていく。どういう資本を投入して安定するかはクラブによって違うと思いますが、私はそうした考えの下でやっています。役割はまさしく、トップセールスですよ」
 

次ページ一流のクラブを作るには、一流のひとにならなければならない

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事