今回は「ギリギリ触れるか、触れないか」の勝負だった。
[天皇杯決勝]C大阪2(1EX0)1横浜/1月1日/埼玉スタジアム2002
勝負を決するゴールが生まれたのは、1-1で迎えた延長前半の95分だった。
横浜から見た右サイド、C大阪の山村和也がキープすると、ややファーサイドを狙った山なりのクロスを放り込む。ゴール前でスタンバイしていた水沼宏太がこれに反応し、ヘッドで合わせてネットを揺らした。
水沼の手前にいた横浜の左SB下平匠は競り勝てなかった。そして、GKの飯倉大樹は前に出てクロスをキャッチしようとしたが、ボールには触ることができず、ゴールをがら空きにしてしまった。
「俺のミスでいいと思います」。飯倉は潔く認める。水沼にヘディングシュートを許した下平の対応にも問題があるように見えたが、「俺が前に出た分、匠もストップしちゃった。出るなら触るべき」と、飯倉はチームメイトをかばう。
一方のサイドで起点を作り、そこからの展開で逆サイドが入ってくる。C大阪の攻撃パターンのひとつとして、飯倉にはイメージがあったという。ともすれば、クロスをキャッチしようと前に出た件のプレーは無謀に映るかもしれないが、飯倉なりの準備があった。
そもそも「自分の特長は、あそこでスピードを持って出るところ」だ。際どいハイボールをしっかりとキャッチし、敵の攻撃を寸断する場面は今季も何度もあった。
今回は「ギリギリ触れるか、触れないか」の勝負で、「結果、良いボールが来た」。ジャンプしても届かない。そう判断してゴールに戻ろうとしたが「間に合わないと思った」。
「俺があそこで出なくて、ゴールのほうにポジションを取っていたら、どうなっていたんだろうなっていうのはありますけど」
勝者と敗者を分けたワンプレーであり、ひとつの判断だった。それだけの大きな責任を背負って、飯倉はゴールマウスを守り続けている。タイトルを賭けた一戦ではゴールを割られてしまった。だが、柏との準決勝で、終了間際にキム・ボギョンの際どいオーバーヘッドを左手一本でかき出し、チームを“元日決戦”に導くビッグセーブを見せたのも、トリコロールの背番号21だ。
「ここまで来れたことが、まず勝負強さという点で、今までなかった部分というか。準決勝とか、その前の広島戦とか、難しい試合でも勝ち切れたのは、評価したい」
タイトルは掴めなかったが、チームの確かな成長を実感している。その過程で飯倉が示した貢献は、決して小さくはない。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【天皇杯決勝PHOTO】延長戦を制したC大阪がルヴァン杯に続き2冠達成!
【天皇杯決勝PHOTO】元旦の埼スタに集結したセレ女たち!熱い応援で優勝へ導く!
勝負を決するゴールが生まれたのは、1-1で迎えた延長前半の95分だった。
横浜から見た右サイド、C大阪の山村和也がキープすると、ややファーサイドを狙った山なりのクロスを放り込む。ゴール前でスタンバイしていた水沼宏太がこれに反応し、ヘッドで合わせてネットを揺らした。
水沼の手前にいた横浜の左SB下平匠は競り勝てなかった。そして、GKの飯倉大樹は前に出てクロスをキャッチしようとしたが、ボールには触ることができず、ゴールをがら空きにしてしまった。
「俺のミスでいいと思います」。飯倉は潔く認める。水沼にヘディングシュートを許した下平の対応にも問題があるように見えたが、「俺が前に出た分、匠もストップしちゃった。出るなら触るべき」と、飯倉はチームメイトをかばう。
一方のサイドで起点を作り、そこからの展開で逆サイドが入ってくる。C大阪の攻撃パターンのひとつとして、飯倉にはイメージがあったという。ともすれば、クロスをキャッチしようと前に出た件のプレーは無謀に映るかもしれないが、飯倉なりの準備があった。
そもそも「自分の特長は、あそこでスピードを持って出るところ」だ。際どいハイボールをしっかりとキャッチし、敵の攻撃を寸断する場面は今季も何度もあった。
今回は「ギリギリ触れるか、触れないか」の勝負で、「結果、良いボールが来た」。ジャンプしても届かない。そう判断してゴールに戻ろうとしたが「間に合わないと思った」。
「俺があそこで出なくて、ゴールのほうにポジションを取っていたら、どうなっていたんだろうなっていうのはありますけど」
勝者と敗者を分けたワンプレーであり、ひとつの判断だった。それだけの大きな責任を背負って、飯倉はゴールマウスを守り続けている。タイトルを賭けた一戦ではゴールを割られてしまった。だが、柏との準決勝で、終了間際にキム・ボギョンの際どいオーバーヘッドを左手一本でかき出し、チームを“元日決戦”に導くビッグセーブを見せたのも、トリコロールの背番号21だ。
「ここまで来れたことが、まず勝負強さという点で、今までなかった部分というか。準決勝とか、その前の広島戦とか、難しい試合でも勝ち切れたのは、評価したい」
タイトルは掴めなかったが、チームの確かな成長を実感している。その過程で飯倉が示した貢献は、決して小さくはない。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
【天皇杯決勝PHOTO】延長戦を制したC大阪がルヴァン杯に続き2冠達成!
【天皇杯決勝PHOTO】元旦の埼スタに集結したセレ女たち!熱い応援で優勝へ導く!