自分を変えるために選んだ決断。当初はトレーニングについていけず…
サニックス杯を初制覇した青森山田。大会6試合を通じて13得点・2失点という数字を残し、並み居る強豪チームをことごとく撃破していった。
九州の地で上々の仕上がりを見せた一昨年の選手権覇者のなかで、中盤で確かな存在感を示した選手がいる。背番号8を背負う武眞大(新3年)だ。
ボランチを主戦場とする武は昨年9月まで東京Vユースに所属。1年時には神奈川県選抜の一員として国体3位を経験し、U-15日本代表候補にも選出された。
しかし、2年生となった昨季は運動量などで物足りなさを残し、徐々に出場機会が減少。現状のままでは目標とするプロ入りも果たせない——。そう判断した技巧派MFは大きな決断を下す。
「1年生の頃は試合に出ていたけど、2年生になると出場機会が減っていった。なので、自分を変えるために新たな道を選んだ」
シーズン中の移籍で半年間公式戦に出場できないハンデも理解した上で、自ら環境の変化を求めて10月に青森山田へ転校した。
東京Vから高体連への移籍——。しかし、そこで待ち受けていたのは想像を絶する過酷な日々だった。
武にとって、苦戦したのはチームのサッカーに順応する作業だ。スタミナと球際の厳しさが求められるスタイルは自身の課題であり、いきなり適応するのは至難の業。黒田剛監督も加入当初は、「競り合えないし、戦えなかったし、走ることもできなかった」と頭を抱える回数が多かったという。
とりわけ、冬に行なった雪上トレーニングはメンタル的にも体力的にも堪えた。
「冬の練習はこんなにきついのかと思った。フィジカル的にもしんどくて、雪の量も違う。最初はきつくても雪の上を走れると思っていたけど、足を取られて思うようにいかなかった。走りのメニューは今までのものと全然違ったんです」
過去に体験した走りとは比べ物にならない冬場の練習。厳しさに耐え切れず、何度も心が折れそうになった。それでも、中学時代にチームメイトだったGK飯田雅浩(新3年)の助けも借りつつ、自身の夢を叶えるべく武は必死の思いで仲間に食らいついた。
青森の地で揉まれた結果、いまでは指揮官から「走れるようになったし、守備も出来るようになった」と太鼓判を押されるほどのプレーヤーに変貌。今回のサニックス杯では誰よりも走り、守備に奔走する姿が随所に見られた。
武はこの5か月間でプレーも考え方も大きく変わった。目標の選手を尋ねた際に武は大島僚太(川崎)と答えたが、「守備の予測が上手いので、そこは真似をして自分も伸ばしていきたい」と、攻撃ではなくディフェンス面の良さを真っ先に挙げるほどだ。
ただ、現状では青森山田でポジションを掴んだだけに過ぎない。ヴェルディで身に付けた技術と青森山田で叩き込まれたタフさ。新たな武器を携え、武は高卒でのプロ入りを掴み取るためのシーズンに挑む。
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
【PHOTO】選手権を彩った来季のスター候補生・下級生ベストイレブン!
九州の地で上々の仕上がりを見せた一昨年の選手権覇者のなかで、中盤で確かな存在感を示した選手がいる。背番号8を背負う武眞大(新3年)だ。
ボランチを主戦場とする武は昨年9月まで東京Vユースに所属。1年時には神奈川県選抜の一員として国体3位を経験し、U-15日本代表候補にも選出された。
しかし、2年生となった昨季は運動量などで物足りなさを残し、徐々に出場機会が減少。現状のままでは目標とするプロ入りも果たせない——。そう判断した技巧派MFは大きな決断を下す。
「1年生の頃は試合に出ていたけど、2年生になると出場機会が減っていった。なので、自分を変えるために新たな道を選んだ」
シーズン中の移籍で半年間公式戦に出場できないハンデも理解した上で、自ら環境の変化を求めて10月に青森山田へ転校した。
東京Vから高体連への移籍——。しかし、そこで待ち受けていたのは想像を絶する過酷な日々だった。
武にとって、苦戦したのはチームのサッカーに順応する作業だ。スタミナと球際の厳しさが求められるスタイルは自身の課題であり、いきなり適応するのは至難の業。黒田剛監督も加入当初は、「競り合えないし、戦えなかったし、走ることもできなかった」と頭を抱える回数が多かったという。
とりわけ、冬に行なった雪上トレーニングはメンタル的にも体力的にも堪えた。
「冬の練習はこんなにきついのかと思った。フィジカル的にもしんどくて、雪の量も違う。最初はきつくても雪の上を走れると思っていたけど、足を取られて思うようにいかなかった。走りのメニューは今までのものと全然違ったんです」
過去に体験した走りとは比べ物にならない冬場の練習。厳しさに耐え切れず、何度も心が折れそうになった。それでも、中学時代にチームメイトだったGK飯田雅浩(新3年)の助けも借りつつ、自身の夢を叶えるべく武は必死の思いで仲間に食らいついた。
青森の地で揉まれた結果、いまでは指揮官から「走れるようになったし、守備も出来るようになった」と太鼓判を押されるほどのプレーヤーに変貌。今回のサニックス杯では誰よりも走り、守備に奔走する姿が随所に見られた。
武はこの5か月間でプレーも考え方も大きく変わった。目標の選手を尋ねた際に武は大島僚太(川崎)と答えたが、「守備の予測が上手いので、そこは真似をして自分も伸ばしていきたい」と、攻撃ではなくディフェンス面の良さを真っ先に挙げるほどだ。
ただ、現状では青森山田でポジションを掴んだだけに過ぎない。ヴェルディで身に付けた技術と青森山田で叩き込まれたタフさ。新たな武器を携え、武は高卒でのプロ入りを掴み取るためのシーズンに挑む。
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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