今回のベルギー遠征で受難のポジションと言えば、右サイドバックである。
 
　マリ戦で代表デビューを飾った宇賀神友弥は19分に警告を受け、さらに42分には軽率なファウルでPKを献上するなどほとんど良いところがないまま前半だけでベンチに退いた。そしてウクライナ戦で先発出場した酒井高徳も乱調。立ち上がりから何度も裏を取られ、69分にはイェヴヘン・コノプリャンカにぶち抜かれて２点目を奪われるきっかけになってしまったのだ。
 
　頼みの綱はやはり酒井宏樹（今回は怪我で招集辞退）となるわけだが、とはいえ懸念材料がある。実は、この酒井宏にはロシア・ワールドカップのアジア最終予選でもらったイエローカードがチーム最多の３枚と“カードコレクター”という側面がある。本大会でも不要なファウルで警告を受けるようだと、その時点で日本は窮地に追い込まれることになるだろう。
 
　そうしたアクシデントを想定するなら、右サイドバックにはやはり内田篤人が必要だ。もちろん現時点では本調子になくコンディション次第だが、実に冷静で客観的に物事を捉え、局面によって柔軟に対応できるスタンスは現代表に必要なファクターではないだろうか。
 

　ただ、今回はコンディション不良で試合に絡めなかった遠藤航がここから調子を上げて自信も付くようであれば、ワールドカップのメンバーに選出する価値はある。ボランチ、CBもこなすユーティリティ性は大きな魅力だけに、今後のパフォーマンスに期待したい。
 
　選手層という意味では左サイドバックのほうが危機的な状況かもしれない。
 
　今遠征では長友佑都が２試合通してそこまで悪くない出来だったからあまりクローズアップされていないが、では、その長友がなんらかのアクシデントに襲われたらどうするのか。安定感に欠ける酒井高？　代表での実戦経験が乏しい車屋紳太郎？　サイドバックの人材不足はこうして見ると極めて深刻だ。