「目の前で選手が群れになって…」
【7月11日・モスクワ|準決勝 クロアチア 2(延長)1 イングランド】
クロアチアが初の決勝進出を果たしたイングランドとの一戦、マンジュキッチによる決勝点は109分に生まれた。ペリシッチのヘッドでのラストパスで抜け出したストライカーは、左足で名手ピックフォードの牙城を崩し、延長後半で逆転に成功したのである。
苦しんで追いついてからの勝ち越しに、選手は喜びを爆発。スタンドのサポーターとこれを分かち合おうと駆け出したマンジュキッチを、ピッチ上のチームメイトはもちろん、サブの選手までが追いかけ、ゴール裏の左端に大きな歓喜の輪ができ上がった。
クロアチアが初の決勝進出を果たしたイングランドとの一戦、マンジュキッチによる決勝点は109分に生まれた。ペリシッチのヘッドでのラストパスで抜け出したストライカーは、左足で名手ピックフォードの牙城を崩し、延長後半で逆転に成功したのである。
苦しんで追いついてからの勝ち越しに、選手は喜びを爆発。スタンドのサポーターとこれを分かち合おうと駆け出したマンジュキッチを、ピッチ上のチームメイトはもちろん、サブの選手までが追いかけ、ゴール裏の左端に大きな歓喜の輪ができ上がった。
そして多くの選手が一斉に抱きついたことで、マンジュキッチらが倒れると、その先にはカメラマンの姿が……。熱戦を撮影していた彼は、選手たちの“下敷き”となってしまった。
すると、喜び合っていた選手たちは慌ててこのカメラマンを抱き起こし、CBのヴィーダは何やら話しかけて彼の頭にキス。他の選手もカメラマンを気遣い、マンジュキッチは怪我をしていないかどうかを確認してから、握手を交わした。
テレビカメラにもこの様子がしっかり捉えられたことで、一躍話題となったこの“受難”のカメラマンは、フランスの通信社「AFP」のメキシコ支社に所属するユーリ・コルテス氏。彼は試合後、この出来事の詳細を次のように明かしている。
「クロアチアの選手が私の前にやって来て、“群れ”になったんだ。そして、そこにベンチからの選手が加わると、私のところに倒れてきた。私は椅子ごと自分の機材の上に倒れてしまったが、そのままの状態で、手に持った400ミリの望遠レンズをつけたカメラのシャッターを押し続けたんだ」
「選手はみんな、私に大丈夫か聞いてきて、ある選手は落ちていた眼鏡を拾って渡してくれた」とクロアチアの選手たちが丁寧に接してくれたことも紹介したコルテス氏。自身4度目のW杯取材という彼は、「こんなことは初めてだよ」とも語った。
ちなみに、倒れた状態で撮り続けた至近距離でのクロアチアの歓喜の姿は、SNSなどを通しても世界中に拡散されている。災難といえば災難だが、怪我もなく、最高の瞬間を“特等席”で撮影し、さらに選手と試合中に触れ合えたのだから、結果的にはコルテス氏はラッキーだったと言えるかも(?)。