指揮官の檄によって、練習の雰囲気は一変した。
6月19日から再始動した鹿島。指揮官のトニーニョ・セレーゾがフィジカル強化から手をつけたのはオフ明けの通例とも言える。6月いっぱいは、鹿嶋からの移動こそなかったものの、合宿形式で連日のように厳しい二部練習を課して選手の身体をいじめ抜いた。局地的な大雨に降られた日もあったが、概ね好天に恵まれ、ほぼ予定通りにメニューをこなしている。
とはいえ、ここまでは先述したように毎年のように繰り返される光景でもある。注目は、そのフィジカル強化のメニューに取り組んだ後だ。どういったボールトレーニングから手を付けるのか、それによって、T・セレーゾ監督が思い描く強化ポイントや問題点が明らかになる。指揮官がまず取り組んだのは、コンパクトな陣形を保ちながら相手を追い込んでボールを奪う、素早い切り替えと瞬時の判断を要求するメニューだった。
理想とするのは、状況の変化に応じて戦い方を変えられる、臨機応変なチームだ。それは、T・セレーゾの志向というより、鹿島というクラブが目指すサッカーの方向性でもある。前半戦、監督はチームが敗れるたびに、「若手に勢いはあるが、まだ経験が足りない。時には苦い汁を飲まなければならない」と語り、成長するため必要な経験だとしてきた。
たしかに、状況に即した判断力を養うための特効薬はなく、あらゆる場面で選手に判断を迫る練習を、日常的に反復していくしかない。地道な作業ではあるが、だからこそ、そこから得た経験は付け焼き刃ではなく選手の血となり肉となる。
ただし、選手たちの練習に対する取り組み方次第で、その効果は大きく変わる。7月2日の練習では、疲労が溜まったせいか、簡単なパスミスを連発する選手が続出。それを指摘する声も出なかったため、T・セレーゾ監督は急遽練習を中断、長い時間をかけて青空ミーティングを行なった。
「練習に集中しろ!」「1回ミスして、2回ミスして、さらに3回ミスしている!」「それを見ても誰も何も言わない!」
監督の激しい檄が練習グラウンド中に響き渡ると、そこから雰囲気は一変。多くの選手から声が出るようになった。
とはいえ、ここまでは先述したように毎年のように繰り返される光景でもある。注目は、そのフィジカル強化のメニューに取り組んだ後だ。どういったボールトレーニングから手を付けるのか、それによって、T・セレーゾ監督が思い描く強化ポイントや問題点が明らかになる。指揮官がまず取り組んだのは、コンパクトな陣形を保ちながら相手を追い込んでボールを奪う、素早い切り替えと瞬時の判断を要求するメニューだった。
理想とするのは、状況の変化に応じて戦い方を変えられる、臨機応変なチームだ。それは、T・セレーゾの志向というより、鹿島というクラブが目指すサッカーの方向性でもある。前半戦、監督はチームが敗れるたびに、「若手に勢いはあるが、まだ経験が足りない。時には苦い汁を飲まなければならない」と語り、成長するため必要な経験だとしてきた。
たしかに、状況に即した判断力を養うための特効薬はなく、あらゆる場面で選手に判断を迫る練習を、日常的に反復していくしかない。地道な作業ではあるが、だからこそ、そこから得た経験は付け焼き刃ではなく選手の血となり肉となる。
ただし、選手たちの練習に対する取り組み方次第で、その効果は大きく変わる。7月2日の練習では、疲労が溜まったせいか、簡単なパスミスを連発する選手が続出。それを指摘する声も出なかったため、T・セレーゾ監督は急遽練習を中断、長い時間をかけて青空ミーティングを行なった。
「練習に集中しろ!」「1回ミスして、2回ミスして、さらに3回ミスしている!」「それを見ても誰も何も言わない!」
監督の激しい檄が練習グラウンド中に響き渡ると、そこから雰囲気は一変。多くの選手から声が出るようになった。
疲れているからミスがあっても仕方がない、そんな考え方では並のチームに終わる。それを踏まえてさらに質を高める努力が求められている。タイトルへの近道は、質の向上を妥協せずに追求できるかどうか。それができた者だけが勝者となることを許される。監督が若手に注入しようとしているのは、勝者のメンタリティーでもある。
戦術的には、よりコンパクトな布陣を保とうとする意図が見える。選手間の距離を近くして相手を寄せつつ、大きな展開でスペースを突く。前線には、スピードが特長の選手が揃うだけに、有効な戦い方と言えるだろう。また、今シーズンの出場時間が20分に止まり、宝の持ち腐れとなっている山村和也を、ボランチで起用するオプションも模索するようだ。
取材・文:田中 滋(フリーライター)
戦術的には、よりコンパクトな布陣を保とうとする意図が見える。選手間の距離を近くして相手を寄せつつ、大きな展開でスペースを突く。前線には、スピードが特長の選手が揃うだけに、有効な戦い方と言えるだろう。また、今シーズンの出場時間が20分に止まり、宝の持ち腐れとなっている山村和也を、ボランチで起用するオプションも模索するようだ。
取材・文:田中 滋(フリーライター)