優勝から始まった試行錯誤。ベースとなった『堅守強攻』。
第87回全国高校サッカー選手権大会での優勝から5年の歳月が経った。広島市内にある学校のグラウンドに向かうと、さっそく優勝の記念碑が迎えてくれた。そのすぐ脇には、昨年7月に完成したばかりの人工芝グラウンドが広がり、取り囲むネットには、ブラジル・ワールドカップに出場したOBの森重真人の記念横断幕が誇らしげに飾られるなど、サッカー名門校ならではの風格が漂っている。
取材日は、ちょうどプリンスリーグ中国・8節の作陽戦が行なわれる日だった。試合前のベンチは気合いに満ちていて、藤井潔監督が指示を出すだけでなく、キャプテンの油井喬介がボードを使いながら、チームメイトに熱く語りかける。
「今年のチームは全員個性が強いので、その特徴を全員で生かすことを大事にしています。試合前にはセットプレーや相手のキーマン、守備の確認をしますが、自分たちで頭を整理すれば、すごく試合に入りやすくなるんです」
油井が語るように、今年のチームは藤井監督が掲げる『堅守強攻』を実現するために、選手自身が高い意識で、ひとつにまとまろうとしている。
「あの優勝は思い切りバットを振ったら、いきなり逆転ホームランが生まれた感覚(笑)。そこからチームの本当のベースを作る作業を地道にやり続けてきて、明らかに前進しているという手応えを感じている」(藤井監督)
藤井監督がコーチから昇格して、2年目でいきなり全国優勝。それによって、35歳だった指揮官の周りは、一気に騒がしくなった。同時に心無い批判を受けることも。優勝した3年後には2年連続でインターハイ、選手権の両方を逃すなど、苦しい時期もあった。
取材日は、ちょうどプリンスリーグ中国・8節の作陽戦が行なわれる日だった。試合前のベンチは気合いに満ちていて、藤井潔監督が指示を出すだけでなく、キャプテンの油井喬介がボードを使いながら、チームメイトに熱く語りかける。
「今年のチームは全員個性が強いので、その特徴を全員で生かすことを大事にしています。試合前にはセットプレーや相手のキーマン、守備の確認をしますが、自分たちで頭を整理すれば、すごく試合に入りやすくなるんです」
油井が語るように、今年のチームは藤井監督が掲げる『堅守強攻』を実現するために、選手自身が高い意識で、ひとつにまとまろうとしている。
「あの優勝は思い切りバットを振ったら、いきなり逆転ホームランが生まれた感覚(笑)。そこからチームの本当のベースを作る作業を地道にやり続けてきて、明らかに前進しているという手応えを感じている」(藤井監督)
藤井監督がコーチから昇格して、2年目でいきなり全国優勝。それによって、35歳だった指揮官の周りは、一気に騒がしくなった。同時に心無い批判を受けることも。優勝した3年後には2年連続でインターハイ、選手権の両方を逃すなど、苦しい時期もあった。
しかし、その中で藤井監督は周囲に惑わされることなく、自分のやり方で、『新生・広島皆実』を着々と作り上げてきた。その中でベースとなったのが、『堅守強攻』だった。相手を見て、連動性が高い組織的な守備を構築し、ボールを奪ったらテンポ良くビルドアップをしながら積極的に縦にボールを入れて、最後まで攻め切る。前への推進力にこだわったサッカーは、選手たちにすぐに浸透していった。
そして昨年、このスタイルで選手権に3年ぶりの出場。結局、2回戦の松商学園戦でPK戦の末に敗れるが、後半10分からは10人で戦い、試合終了間際にラストプレーで追いつくという執念を見せた。
「最後に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。不利になっても戦い切れる強さがあると感じた。今年のチームは、昨年の財産が着実に受け継がれている」(藤井監督)
そして昨年、このスタイルで選手権に3年ぶりの出場。結局、2回戦の松商学園戦でPK戦の末に敗れるが、後半10分からは10人で戦い、試合終了間際にラストプレーで追いつくという執念を見せた。
「最後に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。不利になっても戦い切れる強さがあると感じた。今年のチームは、昨年の財産が着実に受け継がれている」(藤井監督)