九州を熱く盛り上げたいとの思いが福岡ソフトバンクとのコラボに。
2011年の最終節、鳥栖のホーム・ベストアメニティスタジアムのアウェーサポーター席に大きな弾幕が掲げられた。鳥栖が念願のJ1昇格を決定した瞬間、対戦相手の熊本のサポーターが粋な計らいを見せてくれたものだった。そこには、こう書かれていた。
「サガン鳥栖を愛する全ての人へ 堅忍不抜の努力に敬意を表します 追いつき追い越すまでJ1にいてね♡」
J2でしのぎを削ったライバルが、先にJ1昇格を決めた鳥栖へ敬意を表したのだった。その日、スタンドを埋め尽くした来場者の数は22,532人で、鳥栖史上最高の入場者数を記録した。
あれから、丸2年が経過し、鳥栖はJ1の上位で大健闘している。健闘しているのは、クラブだけでない。J1昇格で、スタジアムに訪れる人は飛躍的に伸びた。と同時に鳥栖市内のホテルや飲食店も賑わいを見せている。
JR鳥栖駅近くの飲食店は、『アウェイ割り』と銘打ってアウェーサポーターに向けた各種の割引サービスを行なっている。駅前のホテルも、昇格前に比べて飛躍的に宿泊客が増えているという。街もクラブも一体となってJ1での戦いに挑んでいるのである。
そして、今シーズンは画期的なアイデアの実践に取り組んでいる。プロ野球の福岡ソフトバンクホークスとのコラボレーションである。
手始めに、3月1日の徳島とのJ1開幕戦で、来場者全員にオリジナルタオルマフラーを配布した。このタオルマフラーは、「サガン鳥栖×福岡ソフトバンクホークス スポーツキッズプロジェクト」の主旨に賛同したスポンサーの協力を得て作製された。
そして、第二弾が7月23日の16節・川崎戦で、当日限定記念ユニフォームを来場者全員にプレゼント。これも、福岡ソフトバンクホークス「鷹の祭典2014」とコラボレーションしたもので、福岡ソフトバンクホークスとともに九州を赤く(熱く)盛り上げたいとの思いからだった。
川崎戦は、残念ながら敗れはしたが、2011年の熊本戦での来場者数を上回る「23,277人」が来場。スタジアムレコードを達成した。
単純にプロ野球人気にあやかった企画ではなく、また違った角度から九州を盛り上げたいという思いを実現していくことは、スポーツを通した立派な社会貢献だと言える。プロ野球とは試合数が大幅に違うので、数値の比較は意味をなさないが、Jリーグとして地域に貢献できる仕組みとしては、とても大きな意味を持つ試みだろう。
J1昇格というJリーグ側からの効果だけでなく、プロ野球を愛する人たち、スポーツを愛する人たち、そして九州を愛する人たちの思いが一つになったスタジアムレコードなのである。
たとえやれることは限られていても、これまでの既成概念を超えたアイデアで盛り上がった川崎戦。大きな夢と自信と、経済効果をもたらしてくれたこのゲームを通過点に、サガン鳥栖の次への挑戦はもう始まっている。
取材・文:サカクラゲン(サッカージャーナリスト)
「サガン鳥栖を愛する全ての人へ 堅忍不抜の努力に敬意を表します 追いつき追い越すまでJ1にいてね♡」
J2でしのぎを削ったライバルが、先にJ1昇格を決めた鳥栖へ敬意を表したのだった。その日、スタンドを埋め尽くした来場者の数は22,532人で、鳥栖史上最高の入場者数を記録した。
あれから、丸2年が経過し、鳥栖はJ1の上位で大健闘している。健闘しているのは、クラブだけでない。J1昇格で、スタジアムに訪れる人は飛躍的に伸びた。と同時に鳥栖市内のホテルや飲食店も賑わいを見せている。
JR鳥栖駅近くの飲食店は、『アウェイ割り』と銘打ってアウェーサポーターに向けた各種の割引サービスを行なっている。駅前のホテルも、昇格前に比べて飛躍的に宿泊客が増えているという。街もクラブも一体となってJ1での戦いに挑んでいるのである。
そして、今シーズンは画期的なアイデアの実践に取り組んでいる。プロ野球の福岡ソフトバンクホークスとのコラボレーションである。
手始めに、3月1日の徳島とのJ1開幕戦で、来場者全員にオリジナルタオルマフラーを配布した。このタオルマフラーは、「サガン鳥栖×福岡ソフトバンクホークス スポーツキッズプロジェクト」の主旨に賛同したスポンサーの協力を得て作製された。
そして、第二弾が7月23日の16節・川崎戦で、当日限定記念ユニフォームを来場者全員にプレゼント。これも、福岡ソフトバンクホークス「鷹の祭典2014」とコラボレーションしたもので、福岡ソフトバンクホークスとともに九州を赤く(熱く)盛り上げたいとの思いからだった。
川崎戦は、残念ながら敗れはしたが、2011年の熊本戦での来場者数を上回る「23,277人」が来場。スタジアムレコードを達成した。
単純にプロ野球人気にあやかった企画ではなく、また違った角度から九州を盛り上げたいという思いを実現していくことは、スポーツを通した立派な社会貢献だと言える。プロ野球とは試合数が大幅に違うので、数値の比較は意味をなさないが、Jリーグとして地域に貢献できる仕組みとしては、とても大きな意味を持つ試みだろう。
J1昇格というJリーグ側からの効果だけでなく、プロ野球を愛する人たち、スポーツを愛する人たち、そして九州を愛する人たちの思いが一つになったスタジアムレコードなのである。
たとえやれることは限られていても、これまでの既成概念を超えたアイデアで盛り上がった川崎戦。大きな夢と自信と、経済効果をもたらしてくれたこのゲームを通過点に、サガン鳥栖の次への挑戦はもう始まっている。
取材・文:サカクラゲン(サッカージャーナリスト)