練習試合ではさまざまなシステムを試すなどチーム作りは順調。
約1か月後にアジア大会を控えるU-21日本代表候補が、8月11日から福岡市内で3日間のキャンプを張った。1月の始動(U-22アジア選手権)から、3月の東京、6月の大阪に続いて国内キャンプは今回で3回目となり、「チームとしての戦術理解度はだいぶ高まってきている」(野津田岳人)と、選手たちも手応えを感じているようだ。
今回のテーマは主に守備面に重点が置かれ、攻守に分かれたパターン練習やミニゲーム形式でのトレーニングでも、手倉森誠監督からは細かい指示が飛んだ。2日目の練習後には、岩波拓也、植田直通、奈良竜樹、西野貴治のCB4人が集められ、「自分がマークする相手だけでなく、裏に飛び出した選手のケアもしていかなければならないとか、基本的には個人戦術に関すること」(奈良)について特別に指導を受ける場面も見られた。
キャンプ最終日には、J2福岡とトレーニングマッチを実施。スターティングポジションはアンカーを置いた4-3-3で、これは1月のU-22アジア選手権で一度試されており、奇しくもアギーレ新監督が就任会見で明かした基本布陣とも同じである。
トレーニングからも同システムをメインに使っていた手倉森監督は、「このメンバーにバリエーションをつけたくて、キャンプ前からずっと考えていた。そうしたらアギーレ監督も4-3-3という話をしていて。以心伝心ですね」と笑顔を見せていた。
試合は45分×2本で行なわれ、1本目は開始早々の3分、野津田が放ったシュートがDFに防がれるも、そのこぼれ球を大島僚太が押し込んで幸先良く先制する。さらに38分には、秋野央樹のCKに岩波が打点の高いヘッドで合わせ、リードを2点差に広げた。
1本目では途中から4-2-3-1に変更したが、メンバーを大幅に入れ替えた2本目は、さらにシステムが目まぐるしく変わることに。スタートは1本目と同じ4-3-3だったが、その後、3-5-2、3-4-3、5-3-2、5-4-1と、試合を通じて計6つのシステムを披露してみせた。手倉森ジャパンとしては初の3バックの採用について、指揮官は「室屋(成)や山中(亮輔)、伊東(幸敏)などは攻撃的なSBであり、彼らをもっと攻撃に活かそうと思ったら、3バックを使わない手はない」と語っている。
終盤には5バックと守備的な戦術を用い、福岡相手に無失点で凌ぎ切ってみせた。リードした展開で逃げ切るためのシミュレーションとして、確かな収穫を得られたと言っていいだろう。
一方の攻撃面に関しては、手倉森監督は試合を振り返って「カウンターがうまくハマりそうだし、セットプレーで点が取れれば、したたかさも備わってくる。カウンターとセットプレーで点が取れるようになれば、しぶとく戦えるチームになる」と評価していた。
“全員守備・全員攻撃”をコンセプトに掲げる手倉森ジャパンは、今回のキャンプを通じて、攻守両面における確かな成長を印象づけ、戦い方の幅を広げることもできた。チーム作りは順調に進んでいると言っていいだろう。
【写真で見る】U-21日本代表候補選手(アビスパ福岡戦より)
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
今回のテーマは主に守備面に重点が置かれ、攻守に分かれたパターン練習やミニゲーム形式でのトレーニングでも、手倉森誠監督からは細かい指示が飛んだ。2日目の練習後には、岩波拓也、植田直通、奈良竜樹、西野貴治のCB4人が集められ、「自分がマークする相手だけでなく、裏に飛び出した選手のケアもしていかなければならないとか、基本的には個人戦術に関すること」(奈良)について特別に指導を受ける場面も見られた。
キャンプ最終日には、J2福岡とトレーニングマッチを実施。スターティングポジションはアンカーを置いた4-3-3で、これは1月のU-22アジア選手権で一度試されており、奇しくもアギーレ新監督が就任会見で明かした基本布陣とも同じである。
トレーニングからも同システムをメインに使っていた手倉森監督は、「このメンバーにバリエーションをつけたくて、キャンプ前からずっと考えていた。そうしたらアギーレ監督も4-3-3という話をしていて。以心伝心ですね」と笑顔を見せていた。
試合は45分×2本で行なわれ、1本目は開始早々の3分、野津田が放ったシュートがDFに防がれるも、そのこぼれ球を大島僚太が押し込んで幸先良く先制する。さらに38分には、秋野央樹のCKに岩波が打点の高いヘッドで合わせ、リードを2点差に広げた。
1本目では途中から4-2-3-1に変更したが、メンバーを大幅に入れ替えた2本目は、さらにシステムが目まぐるしく変わることに。スタートは1本目と同じ4-3-3だったが、その後、3-5-2、3-4-3、5-3-2、5-4-1と、試合を通じて計6つのシステムを披露してみせた。手倉森ジャパンとしては初の3バックの採用について、指揮官は「室屋(成)や山中(亮輔)、伊東(幸敏)などは攻撃的なSBであり、彼らをもっと攻撃に活かそうと思ったら、3バックを使わない手はない」と語っている。
終盤には5バックと守備的な戦術を用い、福岡相手に無失点で凌ぎ切ってみせた。リードした展開で逃げ切るためのシミュレーションとして、確かな収穫を得られたと言っていいだろう。
一方の攻撃面に関しては、手倉森監督は試合を振り返って「カウンターがうまくハマりそうだし、セットプレーで点が取れれば、したたかさも備わってくる。カウンターとセットプレーで点が取れるようになれば、しぶとく戦えるチームになる」と評価していた。
“全員守備・全員攻撃”をコンセプトに掲げる手倉森ジャパンは、今回のキャンプを通じて、攻守両面における確かな成長を印象づけ、戦い方の幅を広げることもできた。チーム作りは順調に進んでいると言っていいだろう。
【写真で見る】U-21日本代表候補選手(アビスパ福岡戦より)
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)