ゴールへの強い思いが生んだ「距離間」
ペトロヴィッチ監督の練習は、ピッチ半分を使った11人対11人の紅白戦に最も時間が割かれる。絶え間ない攻守の切り替えへの対応が求められるなか、選手たちは厳しいプレッシャーをかいくぐりながらパスをつないで「ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)スタイル」の礎となる連動性を高める。
指揮官からは「Immer laufen!(インマー・ラウフェン=常に走り切れ!)」との指示が飛び、気の緩みは許されない。一瞬のミスが、失点に直結する。
そのなかで異彩を放っているのが、ゴール前の李忠成だ。
人が集まる密集地帯でいつの間にかマーカーを振り切ってフリーになり、まさに獲物を仕留めるハンターのように確実にシュートをゴールに突き刺す。
ゴールパターンは、ボレー、ヘッド、スライディング、ミドル、ヒールと実に豊富で、どんな体勢からでも決めてしまう。しかも、時間とスペースが限られるなか、一つひとつの動作がしなやかで無駄なく美しい。最近では、教本から飛び出してきたような美しいオーバーヘッドを見せ、サポーターをどよめかせた。改めて、李は生粋のストライカーだと思わされる。
ところがピッチ全面を使った実戦形式になると、紅白戦で見せる凄みが薄れてしまう。4月の6節・仙台戦では、鋭い左足のショットを突き刺し、技ありのループを沈める、彼らしい“剛と柔”の2ゴールを奪っている。しかし好調の波に乗り切れず、シーズン中盤はベンチに甘んじる日々が続いた。
ゴールへの強い思いが、周囲と微妙な距離間を生んでしまう。連動性を重視するミシャスタイルで「距離間」は重要な要素であり、その「微妙な差」を埋めるのに苦心した。
それでも練習で良い状態を保ち続ける李の復調を誰よりも信じていたのが、ずっと傍で見守ってきたペトロヴィッチ監督だった。これまで李はリーグ戦全試合(31試合)に出場、そのうち15試合が途中からである。どんな戦況であっても、指揮官は躊躇わず、自信を持って、必ず李のカードを切ってきた。
すると李は10月のリーグ中断後にシャドーの先発の座を掴み、そして興梠の右腓骨骨折による戦線離脱に伴い、再びCFで起用されるようにもなった。鹿島戦(30節)では、CFに入って価値ある同点弾を決めた。GK曽ヶ端の弾いたこぼれ球を押し込んだ。
ここでやらなければ男じゃない。そんな気持ちの伝わってくる一撃だった。
指揮官からは「Immer laufen!(インマー・ラウフェン=常に走り切れ!)」との指示が飛び、気の緩みは許されない。一瞬のミスが、失点に直結する。
そのなかで異彩を放っているのが、ゴール前の李忠成だ。
人が集まる密集地帯でいつの間にかマーカーを振り切ってフリーになり、まさに獲物を仕留めるハンターのように確実にシュートをゴールに突き刺す。
ゴールパターンは、ボレー、ヘッド、スライディング、ミドル、ヒールと実に豊富で、どんな体勢からでも決めてしまう。しかも、時間とスペースが限られるなか、一つひとつの動作がしなやかで無駄なく美しい。最近では、教本から飛び出してきたような美しいオーバーヘッドを見せ、サポーターをどよめかせた。改めて、李は生粋のストライカーだと思わされる。
ところがピッチ全面を使った実戦形式になると、紅白戦で見せる凄みが薄れてしまう。4月の6節・仙台戦では、鋭い左足のショットを突き刺し、技ありのループを沈める、彼らしい“剛と柔”の2ゴールを奪っている。しかし好調の波に乗り切れず、シーズン中盤はベンチに甘んじる日々が続いた。
ゴールへの強い思いが、周囲と微妙な距離間を生んでしまう。連動性を重視するミシャスタイルで「距離間」は重要な要素であり、その「微妙な差」を埋めるのに苦心した。
それでも練習で良い状態を保ち続ける李の復調を誰よりも信じていたのが、ずっと傍で見守ってきたペトロヴィッチ監督だった。これまで李はリーグ戦全試合(31試合)に出場、そのうち15試合が途中からである。どんな戦況であっても、指揮官は躊躇わず、自信を持って、必ず李のカードを切ってきた。
すると李は10月のリーグ中断後にシャドーの先発の座を掴み、そして興梠の右腓骨骨折による戦線離脱に伴い、再びCFで起用されるようにもなった。鹿島戦(30節)では、CFに入って価値ある同点弾を決めた。GK曽ヶ端の弾いたこぼれ球を押し込んだ。
ここでやらなければ男じゃない。そんな気持ちの伝わってくる一撃だった。