登場で、プレーで、スタジアムを沸かす。
ACLプレーオフの柏対チョンブリFC戦。延長後半8分(113分)、日立台のピッチサイドに「10番 OTSU」の背中が見えると、黄色い柏サポーターで埋め尽くされたホームスタンドは割れんばかりの歓声に包まれた。
「大津祐樹、大津、祐樹~。大津祐樹、大津はミステリー。
大津祐樹、大津、祐樹~。大津祐樹を止めないで~」
「自分の応援歌がすごく好きなので、久しぶりに聞いて、(柏に)戻ってきたんだなと実感しました」と大津。4年ぶりに古巣に復帰した今季は、風邪と足の違和感の影響で、キャンプでは別メニュー調整が続いた。ようやく実戦に復帰したのは2月6日の練習試合(産業能率大戦)。本人も「まだフルでプレーできるような状態じゃない」と振り返るように、新シーズン初の公式戦スタメンに名を連ねることはできなかった。
それでも、大好きだと話す柏サポーターに感謝の意を示すかのように、自らの登場で、そしてその後のプレーで、スタジアムの空気を変えてみせる。ファーストプレーで相手選手に激しいチャージを受け、ピッチに打ち付けられたが、ただでは転ばない。ひるまずにドリブル突破を仕掛けてCKを得ると、そこからレアンドロの決勝ヘッドが生まれた。
決してコンディションは万全でなく、身体のキレも今ひとつ。それでも、一瞬のスピードや独特なアイデアは異彩を放っていた。
「短い時間の中でしっかりプレーはできたかな、と。途中交代で出る限り、ピッチに立つ限り、絶対にチームの力になりたかったので。サポーターがああいう風に応援してくれるのは力になるし、現にそれで点が入ったと思います。雰囲気ひとつとってもサポーターに支えられているなと感じますし、成長した姿をどんどん見せていければいいですね」
1月に行なわれたスタートミーティングで、吉田監督は「大津は見てのとおり、とんでもない能力を持っている選手。ただ、それは良い武器にもなれば、時に凶器にもなる。アイツのいくつかのプレーは嫌いだと本人にも伝えてあって、その懸念を一緒に直しつつ、彼の持っているキャラクターと能力を活かして活躍してもらいたい」と語っている。
大津自身、それは自覚している。チームプレーを大切にしつつも、ドイツやオランダで揉まれて磨いた「個の力」でチームの苦境を救いたい、と。
「チームとして勝ちに行けるのが日本人の強み。でも、それだけでは勝てない。個人的な部分は自分がやらなきゃいけないと思っているし、そういった意味ですごく重要な役目になるんじゃないですかね」
「レイソルには中盤に(ボールを)回せる選手が揃っているし、観ていても楽しいと思います。それがより支配的、攻撃的なのが達磨さんのサッカーなので。サッカーの深いところまで知っている監督の下でプレーできるのは、選手としてはすごく幸せなこと。自分ももっともっと上手くなれると思うし、チームとしても、個人としても成長できると思うので、すごく楽しみなシーズンになりそうです」
大津が既存メンバーと真の“化学反応”を起こしたら――。そんな期待を抱かせる凱旋試合だった。
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
【J1・J2プレシーズン情報】トレーニングマッチ、PSM日程を総まとめ
「大津祐樹、大津、祐樹~。大津祐樹、大津はミステリー。
大津祐樹、大津、祐樹~。大津祐樹を止めないで~」
「自分の応援歌がすごく好きなので、久しぶりに聞いて、(柏に)戻ってきたんだなと実感しました」と大津。4年ぶりに古巣に復帰した今季は、風邪と足の違和感の影響で、キャンプでは別メニュー調整が続いた。ようやく実戦に復帰したのは2月6日の練習試合(産業能率大戦)。本人も「まだフルでプレーできるような状態じゃない」と振り返るように、新シーズン初の公式戦スタメンに名を連ねることはできなかった。
それでも、大好きだと話す柏サポーターに感謝の意を示すかのように、自らの登場で、そしてその後のプレーで、スタジアムの空気を変えてみせる。ファーストプレーで相手選手に激しいチャージを受け、ピッチに打ち付けられたが、ただでは転ばない。ひるまずにドリブル突破を仕掛けてCKを得ると、そこからレアンドロの決勝ヘッドが生まれた。
決してコンディションは万全でなく、身体のキレも今ひとつ。それでも、一瞬のスピードや独特なアイデアは異彩を放っていた。
「短い時間の中でしっかりプレーはできたかな、と。途中交代で出る限り、ピッチに立つ限り、絶対にチームの力になりたかったので。サポーターがああいう風に応援してくれるのは力になるし、現にそれで点が入ったと思います。雰囲気ひとつとってもサポーターに支えられているなと感じますし、成長した姿をどんどん見せていければいいですね」
1月に行なわれたスタートミーティングで、吉田監督は「大津は見てのとおり、とんでもない能力を持っている選手。ただ、それは良い武器にもなれば、時に凶器にもなる。アイツのいくつかのプレーは嫌いだと本人にも伝えてあって、その懸念を一緒に直しつつ、彼の持っているキャラクターと能力を活かして活躍してもらいたい」と語っている。
大津自身、それは自覚している。チームプレーを大切にしつつも、ドイツやオランダで揉まれて磨いた「個の力」でチームの苦境を救いたい、と。
「チームとして勝ちに行けるのが日本人の強み。でも、それだけでは勝てない。個人的な部分は自分がやらなきゃいけないと思っているし、そういった意味ですごく重要な役目になるんじゃないですかね」
「レイソルには中盤に(ボールを)回せる選手が揃っているし、観ていても楽しいと思います。それがより支配的、攻撃的なのが達磨さんのサッカーなので。サッカーの深いところまで知っている監督の下でプレーできるのは、選手としてはすごく幸せなこと。自分ももっともっと上手くなれると思うし、チームとしても、個人としても成長できると思うので、すごく楽しみなシーズンになりそうです」
大津が既存メンバーと真の“化学反応”を起こしたら――。そんな期待を抱かせる凱旋試合だった。
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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