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【連載】識者同士のブンデス放談「15歳の少年をトップチームの練習に招集したバイエルンの真意は」

カテゴリ:ワールド

遠藤孝輔

2015年04月14日

バイエルンはユースでも頂点に立とうとしているのでは。

このガウディーノ(左)やクルト(右)など若手の登用に躊躇がないグアルディオラ監督。3月末のAマッチウィーク中には、15歳の俊英トログランチッチをトップチームの練習に参加させた。 (C) Getty Images

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 各国のサッカー事情に通じたエキスパート2人を迎え、クロストークで掘り下げる連載企画。そのブンデスリーガ編がスタート!
 
 シュツットガルトで育成部門コーチやスカウトを歴任し、岡崎慎司や酒井高徳の通訳を務め、現在は同クラブのフロントスタッフとして手腕を振るう河岸貴氏と、『ワールドサッカーダイジェスト』誌の元編集記者で、現在はフリーで活躍中の遠藤孝輔氏が、ブンデスリーガの気になる話題に切り込む!
 
――◆――◆――
 
遠藤孝輔:3月下旬の国際Aマッチウィーク中、2000年1月1日生まれの少年がバイエルンのトップチームの練習に参加しました。ドイツとクロアチアの二重国籍者で、バイエルンのU-15に所属するMFアントニオ・トログランチッチです。いくら主力の多くが代表戦で出払っていたとはいえ、年端も行かない15歳ですよ。その少年が真の天才なのか、それとも話題作りだったのか……。
 
河岸 貴:ペップ(バイエルンのグアルディオラ監督の愛称)の意向でしょうね。彼はバルセロナでも、バイエルンでも、比較的多くの若手を起用してきた指揮官です。ただ、今回の件はユースにも力を入れているという“アピール”が強かったと思いますよ。ここ最近のバイエルンは、下部組織にかなり力を入れていますし。
 
遠藤:ラームやシュバインシュタイガー、ミュラー、バドシュトゥバーなどを輩出していますし、以前から充実していたと思っている人は少なくないはずですよ。
 
河岸:例えば、僕がシュツットガルトの育成でコーチをしていた頃(06~11年末)、バイエルンのユースは成績が良くなかったし、トップリーグにも所属していなかった記憶があります。バイエルンで大きな権力を持つ人物の身内に監督を任せている時期もありましたね。ここ数年でしょう。バイエルンが本気で育成に取り組み始めたのは。ドイツの国自体は2000年代に入ってから、育成に力を入れていましたが。
 
 ちなみに、ラームは2003~2005シーズンまでレンタルで、バドシュトゥバーは下部組織でしたが2000~2002シーズンまでウチ(シュツットガルト)に所属していました。
 
遠藤:風向きが変わったのは、やはりペップの影響が?
 
河岸:どうでしょう。ただ、彼が大きな権限を持っているのは確か。話が少し逸れますが、チームスタッフの人事にも影響を及ぼしていると耳にしますし、彼にいわば追い出された格好のスカウトもいました。
 
遠藤:ちなみに、トログランチッチを呼んだトレーニングには98年生まれのドイツU-17代表FW、マルコ・シュテファンドルも参加していました。すでにプロデビューしている96年生まれのMFジャンルカ・ガウディーノといい、「ロイス2世」と謳われるFWシナン・クルトといい、バイエルンには面白そうな若手が揃っていますね。
 
河岸:来シーズンからウチ(シュツットガルト)の若手がひとり、バイエルンに加わりますよ。いまは2部のRBライプツィヒにレンタルしているヨシュア・キミッヒです。移籍金はだいたい8億円くらいですね。
 
遠藤:95年生まれのドイツU-21代表MFですね。トップリーグにデビューしていない新鋭ですが、どんな特徴を持った選手ですか?
 
河岸:テクニカルで、センス溢れる選手です。
 
遠藤:まさにペップ好みのキーワードが(笑)。
 
河岸:話を戻しますが、バイエルンはユースでもドイツの頂点に立とうとしているんだと思います。
 
遠藤:セカンドチームを是が非でも3部に昇格させたがっているそうですね。いまは4部のバイエルン地区で2位。残り6試合で首位とは勝点6差なので、昇格の可能性は低くなさそうです。
[著者注:4部のレギオナルリーガは北部、北東部、西部、南西部、バイエルン地区の5リーグに分かれている。各地区の首位と南西部2位チームの計6チームが昇格プレーオフを行ない、最終的に3チームが3部に昇格。トップチームが3部に所属している場合は昇格が認められない]
 
河岸:狙っているでしょうね。いま、ブンデスリーガの全18クラブの中で、サテライトチーム(セカンドチーム)が3部に所属しているのは、シュツットガルトとマインツ、ドルトムントだけ。ちなみに、ウチ以外は残留争いに巻き込まれていますよ。
 
遠藤:3部と4部の違いは大きいですか?
 
河岸:レベルに大きな違いがありますよ。プロとアマの境界線。日本で言えば、J3とJFAにあたりますね。育成の場としては、やはり3部の方が有益でしょう。

河岸氏のシュツットガルトから、来シーズンのバイエルン入りが決まったキミッヒ。テクニカルでセンスに溢れる、まさにペップ好みだ。 (C) Getty Images

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