【大宮】J2を席巻する俊英ドリブラー。泉澤仁が“ひと皮剥けた”理由

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2015年09月18日

現在の数字はあくまで通過点。大宮を背負ってさらなる高みへ。

家長は憧れの存在。「お互いに考えていることが分かる」(家長)と抜群の意思疎通で左サイドを蹂躙する。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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「やれることだけをやればいい」
 
 小難しく考えていたことが足かせになっているのならば、自分の立ち位置や武器を見直せばいいのだ。
 
 吹っ切れた泉澤は、途中出場した9節・水戸戦でさらなるキッカケを掴む。
 
「(渡邉)大剛さんとのワンツーから抜け出して決定機を迎えた場面で、『これだ!』と思った。横幅を広く使うためにサイドに張るのが役割ですけど、それ一辺倒じゃ相手が対処しやすい。タイミングを見計らって中に入り込めれば、やっぱりよりゴールの可能性は高まる」
 
 破壊的な突破力を備えたドリブラーは、そこから加速度的に成長していった。
 
 憧れの家長、そして左SBの和田とともにパスワークで相手守備陣を蹂躙。機を見て、果敢に仕掛けることも忘れない。さらには、抜き切れなくても、距離があっても、コースがあればミドルシュートを放った。
 
「当たり前ですけど、いろいろできたほうが相手の脅威になれる。今はドリブルを活かしつつも、なんでもできるアタッカーに進化したいんです」
 
 31節終了時点で奪ったゴールの数は7。これはチーム内でムルジャ、家長、横谷に次ぐ4位だ。そしてアシスト(本誌選定)は、チームトップの6を記録している。
 
 だが、高みを目指す泉澤にとって、この数字はあくまでも通過点でしかない。
 
「得点はもちろん、もっとアシストを増やしたい。そのためには最終ラインの裏へのパスを磨く必要がある」
 
 大宮はJ2で首位をひた走るが、現状に決して満足していない。もっと上手くなって、多くの勝利を。多くの得点を。多くのアシストを――。
 
 道に迷い、壁にぶつかりながら、一歩ずつ前進してきた泉澤は今、大宮の次代を担う選手へと変貌しようとしている。

取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト)
 
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