選手売却の収入システムを確立し、クラブを正しい方向に導く。
そのうえでハイデルは、今ではブンデスリーガ中で使われている「契約オプション」というものを考え出した。すでにマネジャーを本業にしていた彼は、選手を売る際、マインツに複数年に渡って収入を約束するようなオプションをつけるよう、買い取る側のクラブと話をつけたのだ。
例えば、その選手が新クラブで何試合に出場したらいくら、何得点決めたらいくら、タイトルを獲得したらいくら、代表選手になったらいくら、将来違うクラブに移籍する時に高く売れたらいくら……等々。
それが初めて機能したのは、2008年にネベン・スボティッチを500万ユーロでドルトムントに売った時だ。彼は当時、まだ18歳だった。さらにその後、2011年にレバークーゼンに売ったアンドレ・シュールレが2年後にチェルシーへ移籍したため、マインツには計1400万ユーロの儲けがもたらされた。
移籍収入で稼ぐこのアイデアはうまくいった。財政面でみれば、冒頭で述べたように収支はプラスを維持し、2011年からホームスタジアムにしているコファス・アレーナはすでに60パーセントが支払済みだ。ちなみに旧本拠地のブルヒベークは現在、U-19とU-23のチームが使用している。
そしてピッチ上でも、マインツは2004年のブンデスリーガ1部初昇格以来、降格した06-07シーズンと2部を戦った07~09年を除いて、降格争いに加わることなく、1部で8シーズンを過ごしている。
今シーズンも第8節を終えて勝点12の8位と、真ん中より上にいる。ヨハネス・ガイス(シャルケ)、パク・チュホ(ドルトムント)、岡崎慎司(レスター)、ク・ジャチョル(アウクスブルク)といった主力選手を放出したにもかかわらずである。
彼らの穴は、新加入選手が十分に穴を埋めている。特に武藤嘉紀は、全8試合に出場して2得点と結果を残している。8節、アウェーのダルムシュタット戦でも、特別良いプレーをしたわけではないが、2ゴールに絡んでみせた。
その他にも、スイス代表のファビアン・フライ、そして彼が重傷を負った後には、ボーフムからやって来たテクニシャンのダニー・ラッツァが、キャプテンのユリアン・バウムガルトリンガーとボランチを組むようになった。
その他の新加入選手、フロリアン・ニーダーレヒナー、ジョン・コルドバ、レオン・バログン、ガエタン・ビュスマンは、まだバックアップの域を越えていないが、チームの選手層は明らかに厚くなった。
そして、18歳のオールラウンダー、ザート・ゼルダル(FW)や、才能ある23歳のMFフィリップ・クレメント、スピーディーなFWデバンテ・パーカー(19歳)といった、各年代のドイツ代表に名を連ねた若き逸材たちも、リーガデビューを果たしている。
そう、マインツは正しい方向に向かっているのだ。
文:ラインハルト・レーベルク 「マインツァー・アルゲマイネ新聞」コラムニスト
翻訳:円賀貴子
Reinhard REHBERG
ラインハルト・レーベルク/「ライン新聞」で1987年から27年にわたってマインツの番記者を務める。現在はフリーで、「マインツァー・アルゲマイネ新聞」のコラムニストを務める一方、監督業を志す指導者に向けたコーチングも行なっている。マインツ出身、57年7月30日生まれ。
例えば、その選手が新クラブで何試合に出場したらいくら、何得点決めたらいくら、タイトルを獲得したらいくら、代表選手になったらいくら、将来違うクラブに移籍する時に高く売れたらいくら……等々。
それが初めて機能したのは、2008年にネベン・スボティッチを500万ユーロでドルトムントに売った時だ。彼は当時、まだ18歳だった。さらにその後、2011年にレバークーゼンに売ったアンドレ・シュールレが2年後にチェルシーへ移籍したため、マインツには計1400万ユーロの儲けがもたらされた。
移籍収入で稼ぐこのアイデアはうまくいった。財政面でみれば、冒頭で述べたように収支はプラスを維持し、2011年からホームスタジアムにしているコファス・アレーナはすでに60パーセントが支払済みだ。ちなみに旧本拠地のブルヒベークは現在、U-19とU-23のチームが使用している。
そしてピッチ上でも、マインツは2004年のブンデスリーガ1部初昇格以来、降格した06-07シーズンと2部を戦った07~09年を除いて、降格争いに加わることなく、1部で8シーズンを過ごしている。
今シーズンも第8節を終えて勝点12の8位と、真ん中より上にいる。ヨハネス・ガイス(シャルケ)、パク・チュホ(ドルトムント)、岡崎慎司(レスター)、ク・ジャチョル(アウクスブルク)といった主力選手を放出したにもかかわらずである。
彼らの穴は、新加入選手が十分に穴を埋めている。特に武藤嘉紀は、全8試合に出場して2得点と結果を残している。8節、アウェーのダルムシュタット戦でも、特別良いプレーをしたわけではないが、2ゴールに絡んでみせた。
その他にも、スイス代表のファビアン・フライ、そして彼が重傷を負った後には、ボーフムからやって来たテクニシャンのダニー・ラッツァが、キャプテンのユリアン・バウムガルトリンガーとボランチを組むようになった。
その他の新加入選手、フロリアン・ニーダーレヒナー、ジョン・コルドバ、レオン・バログン、ガエタン・ビュスマンは、まだバックアップの域を越えていないが、チームの選手層は明らかに厚くなった。
そして、18歳のオールラウンダー、ザート・ゼルダル(FW)や、才能ある23歳のMFフィリップ・クレメント、スピーディーなFWデバンテ・パーカー(19歳)といった、各年代のドイツ代表に名を連ねた若き逸材たちも、リーガデビューを果たしている。
そう、マインツは正しい方向に向かっているのだ。
文:ラインハルト・レーベルク 「マインツァー・アルゲマイネ新聞」コラムニスト
翻訳:円賀貴子
Reinhard REHBERG
ラインハルト・レーベルク/「ライン新聞」で1987年から27年にわたってマインツの番記者を務める。現在はフリーで、「マインツァー・アルゲマイネ新聞」のコラムニストを務める一方、監督業を志す指導者に向けたコーチングも行なっている。マインツ出身、57年7月30日生まれ。