足首の柔軟性で膝・股関節への負担をカバー。
ポグバはある試合で、4人の相手をドリブルで抜き去るシーンがあった。左右への加速がこうしたプレーを支えているが、その加速力を生むためには、軸足の過剰な足部回内(足の親指側に重心を乗せること)の動きが要求される。
ポグバは重心が高い分、体幹動揺も大きく、より距骨下関節(足首)に負担がかかる。しかし、足首の柔軟性(距骨の自由度)が高いため、膝・股関節へのストレスをうまく分散させられるのだろう。
またある試合では、ペナルティーエリア内で右方向から来た低い弾道のクロスに対して、身体を反転させながらワンタッチでゴールを決めていた。
このシーンでは、クロスボールが相手DFに当たって若干軌道が逸れたものの、相手ゴールに背を向けた状態から瞬時にボールに反応し、急激に体幹を右回旋させながら大きく左股関節を外旋させ、ワンタッチで左足インサイドを使いシュートを放っている。
この際、背骨(胸椎)は過剰な右側屈・回旋運動が要求される。同時に骨盤も右へ流れるため、左股関節(蹴り足)は内旋方向に動いてしまいがちになる。
しかし、重心が右側に大きくブレているにもかかわらず、左股関節を外旋(外側に捻る動き)させられていた。これは右股関節(軸足)の内旋(内側に捻る動き)が、しっかりできているからこそだ。
さらに注目してほしいポイントがある。
左足でシュートを放つ前から右腕を内旋、左腕を外旋方向に動かしているのがわかるのだ。背骨や股関節の柔軟性のほか、両腕の動きを加えることでより左股関節を外旋させやすくなり、正確にインサイドでシュートを放てる状態を作り出している。
ポグバは無意識的・本能的にこのような“分節された動き”を行なうことができる、数少ない選手の1人と言えるだろう。バルセロナやチェルシーといったメガクラブが彼を欲しがるのは、こういったフィジカル面での優位性からも理解できる。
分析者:中根正登
取材・文:猪熊 僚
[分析者プロフィール]
中根正登(なかね・まさと)
理学療法士。フィジカル・コンサルティングチーム『フィジカリズム』副代表。トリガーポイント療法・関節系テクニック・東洋医学などを組み合わせ、多角的な視点から関係性を捉え、治療効果の即時性&持続性向上に力を注ぐ。幅広い人脈を持ち、某超有名ミュージシャンなどをクライアントに持つ。
※ワールドサッカーダイジェスト2015.10.15号より加筆・修正
ポグバは重心が高い分、体幹動揺も大きく、より距骨下関節(足首)に負担がかかる。しかし、足首の柔軟性(距骨の自由度)が高いため、膝・股関節へのストレスをうまく分散させられるのだろう。
またある試合では、ペナルティーエリア内で右方向から来た低い弾道のクロスに対して、身体を反転させながらワンタッチでゴールを決めていた。
このシーンでは、クロスボールが相手DFに当たって若干軌道が逸れたものの、相手ゴールに背を向けた状態から瞬時にボールに反応し、急激に体幹を右回旋させながら大きく左股関節を外旋させ、ワンタッチで左足インサイドを使いシュートを放っている。
この際、背骨(胸椎)は過剰な右側屈・回旋運動が要求される。同時に骨盤も右へ流れるため、左股関節(蹴り足)は内旋方向に動いてしまいがちになる。
しかし、重心が右側に大きくブレているにもかかわらず、左股関節を外旋(外側に捻る動き)させられていた。これは右股関節(軸足)の内旋(内側に捻る動き)が、しっかりできているからこそだ。
さらに注目してほしいポイントがある。
左足でシュートを放つ前から右腕を内旋、左腕を外旋方向に動かしているのがわかるのだ。背骨や股関節の柔軟性のほか、両腕の動きを加えることでより左股関節を外旋させやすくなり、正確にインサイドでシュートを放てる状態を作り出している。
ポグバは無意識的・本能的にこのような“分節された動き”を行なうことができる、数少ない選手の1人と言えるだろう。バルセロナやチェルシーといったメガクラブが彼を欲しがるのは、こういったフィジカル面での優位性からも理解できる。
分析者:中根正登
取材・文:猪熊 僚
[分析者プロフィール]
中根正登(なかね・まさと)
理学療法士。フィジカル・コンサルティングチーム『フィジカリズム』副代表。トリガーポイント療法・関節系テクニック・東洋医学などを組み合わせ、多角的な視点から関係性を捉え、治療効果の即時性&持続性向上に力を注ぐ。幅広い人脈を持ち、某超有名ミュージシャンなどをクライアントに持つ。
※ワールドサッカーダイジェスト2015.10.15号より加筆・修正