同点劇の30分前にあった、数秒間の反省という伏線。
試合のポイントになった58分の同点ゴールを振り返るにあたって、まずは29分のシーンを回想したい。横谷も「もう少し視野を広く持っていれば」と語った場面。敵陣深く、左サイドで和田拓也のスローインから攻撃が改めてスタートしている。
江坂任がボールを受けると、すかさずリターン。そこに家長昭博も加わって、ポジションチェンジをしながら三角形を形成してパスを回す。ボールロストしたものの、すぐさま和田と江坂がプレスをかけて、再び大宮ボールに。次の瞬間、逆サイドから絞って来ていた横谷にボールが渡った。
ゴールまで約25メートル。寄せてきた磐田の中村太亮をダブルタッチでかわすと、前がポッカリと空いている。右足を躊躇なく振り抜いた。しかし、シュートはGK正面。カミンスキーにとってはイージーボールだった。
「シュート後に周りを見たら、ムルジャがDFと1対1でボールを欲しそうにしていた」
事実、D・ムルジャは両手を広げて「なぜ出してくれないんだ」とアピールしていた。これは、対面している森下俊がカバーを考えて視界に自身を捉えていなかったからだけではない。横谷が中村を抜いた瞬間にステップを踏んで身体を開いており、ファーストタッチでゴールを向いてシュートのイメージができていたからだろう。
だが、横谷の選択はある意味で仕方のない部分はある。出場時間をもっと伸ばしたい、試合開始時からピッチに立っていたい――。17番は、今季リーグ戦初スタメンとなった試合で転がってきたアピールチャンスを掴みに行ったのだ。
昨季、首位をひた走っていた8月に、このアタッカーは「J1に上がったらクラブは攻撃な選手を絶対に補強する。心配事は、そのなかでスタメンを取れるか」と話していたが、言葉どおりに大宮は江坂やネイツ・ペチュニクらアタッカーを加えた。
結果、完全移籍1年目で右サイドハーフとしてスタメンの座を掴み、セットプレーのキッカーも任された男は定位置を失ってしまった。
前述のように、29分に磐田のゴールネットは揺れなかった。そして、“隠れた決定機”を逃した反省の数秒間を経て、30分後に歓喜は訪れる。これがチームの劣勢を撥ね返す、救いのゴールを生み出す伏線となっていたのだ。
江坂任がボールを受けると、すかさずリターン。そこに家長昭博も加わって、ポジションチェンジをしながら三角形を形成してパスを回す。ボールロストしたものの、すぐさま和田と江坂がプレスをかけて、再び大宮ボールに。次の瞬間、逆サイドから絞って来ていた横谷にボールが渡った。
ゴールまで約25メートル。寄せてきた磐田の中村太亮をダブルタッチでかわすと、前がポッカリと空いている。右足を躊躇なく振り抜いた。しかし、シュートはGK正面。カミンスキーにとってはイージーボールだった。
「シュート後に周りを見たら、ムルジャがDFと1対1でボールを欲しそうにしていた」
事実、D・ムルジャは両手を広げて「なぜ出してくれないんだ」とアピールしていた。これは、対面している森下俊がカバーを考えて視界に自身を捉えていなかったからだけではない。横谷が中村を抜いた瞬間にステップを踏んで身体を開いており、ファーストタッチでゴールを向いてシュートのイメージができていたからだろう。
だが、横谷の選択はある意味で仕方のない部分はある。出場時間をもっと伸ばしたい、試合開始時からピッチに立っていたい――。17番は、今季リーグ戦初スタメンとなった試合で転がってきたアピールチャンスを掴みに行ったのだ。
昨季、首位をひた走っていた8月に、このアタッカーは「J1に上がったらクラブは攻撃な選手を絶対に補強する。心配事は、そのなかでスタメンを取れるか」と話していたが、言葉どおりに大宮は江坂やネイツ・ペチュニクらアタッカーを加えた。
結果、完全移籍1年目で右サイドハーフとしてスタメンの座を掴み、セットプレーのキッカーも任された男は定位置を失ってしまった。
前述のように、29分に磐田のゴールネットは揺れなかった。そして、“隠れた決定機”を逃した反省の数秒間を経て、30分後に歓喜は訪れる。これがチームの劣勢を撥ね返す、救いのゴールを生み出す伏線となっていたのだ。