バルサの意向は18歳になった久保を取り戻すこと。
さらにフランがこう続ける。
「フィジカル的にはまだこれからだが、プレーの緩急のつけ方が素晴らしく、一瞬の加速力もある。これは前線でプレーする選手にとって欠かせないファクターだ。メンタルに関しては――。タケは15歳のどんな選手もしたことがないような体験をしてきたのだ。精神的にも大人びているのではないだろうか。
タケには、是非ともこの世界で成功してほしいと願っている。優秀なタレントであるだけでなく、彼は人間としても素晴らしく、誰からも好かれる存在だ。なにしろあのわずか数年間で、バルサのカンテラに大きな足跡を残したんだからね」
カンプ・ノウはいつの日か、成長した久保を目にするだろう。クラブも彼の復帰を望んでいる。
15年12月、バルサのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は久保とイ・スンウ、ヤン・ギョルヒの3人を、横浜で行なわれたクラブワールドカップ決勝に招待した。ルイス・スアレスの2点とリオネル・メッシのゴールでリーベル・プレートに快勝し、世界一に輝いた試合だ。
クラブ幹部、カンテラのテクニカルスタッフ、チームメイト、そしてサポーターの意向は、たったひとつ。それは、18歳になった久保を取り戻すこと――。
果たして3年後、彼はカンプ・ノウのピッチを踏んでいるだろうか。憧れのスタジアムで活躍する日を、久保も遠く日本の地で夢見ていると信じたい。
(このシリーズ、了)
<1>久保獲得を狙っていたのはバルサだけではなかった
<2>卓球でも類稀な才能を発揮。本業ではゴールを決め続けた
<3>順調な日々からの暗転。彼は試合を眺めるしかなかった
◆プロフィール
久保建英(くぼ・たけふさ)
2001年6月4日、神奈川県川崎市生まれ。167センチ・59キロ。小学1年で地元の川崎市麻生区の少年少女を対象にした「FCパーシモン」に入団。小学3年からは1学年上の川崎フロンターレU-10でプレー。09年に横浜で開催された「FCバルセロナキャンプ」で脚光を浴び、11年8月にバルセロナの下部組織に加入する。チームの中心選手として活躍するが、その後、未成年の海外移籍を禁止するFIFA規約第19条に抵触するとして、バルサでの公式戦出場を禁じられると、15年3月に帰国を決断。FC東京U-15むさしに入団する。現在は飛び級で、FC東京U-18でプレー。U-17日本代表にも名を連ねる。
文:オリオル・ドメネク(ムンド・デボルティーボ紙)
翻訳:豊福 晋(サッカーライター)
※『サッカーダイジェスト』9月22日号(9月8日発売)より抜粋
「フィジカル的にはまだこれからだが、プレーの緩急のつけ方が素晴らしく、一瞬の加速力もある。これは前線でプレーする選手にとって欠かせないファクターだ。メンタルに関しては――。タケは15歳のどんな選手もしたことがないような体験をしてきたのだ。精神的にも大人びているのではないだろうか。
タケには、是非ともこの世界で成功してほしいと願っている。優秀なタレントであるだけでなく、彼は人間としても素晴らしく、誰からも好かれる存在だ。なにしろあのわずか数年間で、バルサのカンテラに大きな足跡を残したんだからね」
カンプ・ノウはいつの日か、成長した久保を目にするだろう。クラブも彼の復帰を望んでいる。
15年12月、バルサのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は久保とイ・スンウ、ヤン・ギョルヒの3人を、横浜で行なわれたクラブワールドカップ決勝に招待した。ルイス・スアレスの2点とリオネル・メッシのゴールでリーベル・プレートに快勝し、世界一に輝いた試合だ。
クラブ幹部、カンテラのテクニカルスタッフ、チームメイト、そしてサポーターの意向は、たったひとつ。それは、18歳になった久保を取り戻すこと――。
果たして3年後、彼はカンプ・ノウのピッチを踏んでいるだろうか。憧れのスタジアムで活躍する日を、久保も遠く日本の地で夢見ていると信じたい。
(このシリーズ、了)
<1>久保獲得を狙っていたのはバルサだけではなかった
<2>卓球でも類稀な才能を発揮。本業ではゴールを決め続けた
<3>順調な日々からの暗転。彼は試合を眺めるしかなかった
◆プロフィール
久保建英(くぼ・たけふさ)
2001年6月4日、神奈川県川崎市生まれ。167センチ・59キロ。小学1年で地元の川崎市麻生区の少年少女を対象にした「FCパーシモン」に入団。小学3年からは1学年上の川崎フロンターレU-10でプレー。09年に横浜で開催された「FCバルセロナキャンプ」で脚光を浴び、11年8月にバルセロナの下部組織に加入する。チームの中心選手として活躍するが、その後、未成年の海外移籍を禁止するFIFA規約第19条に抵触するとして、バルサでの公式戦出場を禁じられると、15年3月に帰国を決断。FC東京U-15むさしに入団する。現在は飛び級で、FC東京U-18でプレー。U-17日本代表にも名を連ねる。
文:オリオル・ドメネク(ムンド・デボルティーボ紙)
翻訳:豊福 晋(サッカーライター)
※『サッカーダイジェスト』9月22日号(9月8日発売)より抜粋