“もどかしさ”を打破できなければ――すなわち風間体制の終幕。
川崎が不振に陥った原因について、中村は自身の見解を示す。
「ここに(ボールが)来るだろうと思って走っても、逆足にボールが来る場面が平気である。誰が悪いというわけじゃなくて、それをすり合わせ切れていないのが問題。結局、ボールを取られる回数も多い。相手の陣地でプレスをいなしたりするのが、いまいちできていない」
また「イメージの共有不足」にも触れて、こう続ける。
「やっていても、確信を持って攻撃ができていない。その連続なので緩急もない。相手の裏をほとんどかけていないし、イメージの共有もあまりない。確信を持ってこのスペースを突いて、足もとにパスを出すというのが、何本かに1本しかできていない。それまでは当たり前のようにできていたけど、今はそれが上手くハマっていないのが現状。(みんなで)話はしているけど、そんな簡単ではない」
攻撃サッカーを標榜するチームが、長所である攻撃力を活かせない負のスパイラルに陥っているのだから、3連敗も当然の結果だ。だからと言って、風間体制下の積年の課題である守備を急に整備しようとすれば、チームが土台から瓦解しかねない。“攻守一体”と考え、ゴールから逆算してチーム作りをしている以上、攻撃に活路を求めるより他にない。
「良い時という言い方をするのはあまり好きじゃないけど、(良い時は)パスコースがいくつもある状態から選んで、面白いようにやる。それができない時に引っ掛かってボールを取られる。そうなると動きも小さくなってしまう。攻撃が怖くないのが一番面白くない。それは自分も絡んでいるので、なんとかしないといけない。パターン化してやっているわけではないから、選手の発想が大事になるけど、だからこそすごくもどかしい」
“もどかしさ”を打破できなければ――それは、すなわち風間体制の終幕を意味する。今の状態が続くならば、優勝の日は遠ざかり、終焉の日は近づく一方だ。
取材・文●大木 勇(サッカーダイジェスト編集部)