シュートを放った後にバランスを崩すのは課題。
パスを受ける時は、右足でボールタッチすることが多いように見受けられます。アウトフロントでボールを微調整しながらキープする精度が高いですが、これは股関節の柔軟性だけでなく、足首を非常に柔らかくコントロールできている証でしょう。逆エラシコなどでも股関節の内旋から外旋の可動性のほか、足関節外反(外側に反ること)の可動性も要求されるのですから。本当に身体の使い方の質が高い選手だと思います。
もう一点、目についたポイントは、シュートを放ったあとにバランスを崩すシーンが多いことです。これは体勢を維持できないほど、体幹を捻っているためでしょう。シュートの威力が強いのは、そのためです。例えばボクシングでも、まっすぐにパンチするよりも、捻りを加えるとパンチ力が高まります。捻ることでより多くの筋群が参加するためです。サッカーでも同じで、足だけでなく体幹回旋の要素が入れば入るほど強力なボールが飛ぶのです。もっとも、バランスを崩すこと自体は課題となりますが。
よくサッカー選手のプレーを評して、「膝下の振りが速い」ということが言われます。これは膝下だけの動きが速いということではなく、「股関節や体幹をうまく協調させて使った結果、振りが速くなっている」ということです。宇佐美選手のプレーを見ていると大腰筋をうまく使い、さらに体幹を強力に回旋させていることが分かります。こうした部分も、彼の大きな特徴ですね。
優れたドリブラーの特徴として、もうひとつ挙げられるのは、身体が前傾姿勢にならないことですね。前傾姿勢になると、膝重心になってしまいます。膝が屈曲し、いわゆる“居着く”状態となります。大腿四頭筋が張ってしまう状態ですね。股関節・下部体幹が柔らかく使えないため、次の動作に遅れが生じてしまいます。ドリブルで抜き去るシーンでも、よく見ると抜く瞬間は身体を過剰に倒しておらず、突破したあとに前傾姿勢になることが多いですね。
宇佐美選手は、シザース(またぎ)を交えてのドリブルも優れていると思います。しかしネイマール選手などのシザースと比較すると、まだまだ前傾姿勢になることも多く、股関節の使い方にも課題はあるかと思います。
宇佐美選手はまだまだ若く、大きな伸びしろを残していると言えるでしょう。今後、課題を克服していけば、日本代表の中心選手になれる逸材であることは間違いないはずです。
分析:中根正登(Oriental Physio Academy副代表)
取材・文:澤山大輔(カラダジャーナリスト)
もう一点、目についたポイントは、シュートを放ったあとにバランスを崩すシーンが多いことです。これは体勢を維持できないほど、体幹を捻っているためでしょう。シュートの威力が強いのは、そのためです。例えばボクシングでも、まっすぐにパンチするよりも、捻りを加えるとパンチ力が高まります。捻ることでより多くの筋群が参加するためです。サッカーでも同じで、足だけでなく体幹回旋の要素が入れば入るほど強力なボールが飛ぶのです。もっとも、バランスを崩すこと自体は課題となりますが。
よくサッカー選手のプレーを評して、「膝下の振りが速い」ということが言われます。これは膝下だけの動きが速いということではなく、「股関節や体幹をうまく協調させて使った結果、振りが速くなっている」ということです。宇佐美選手のプレーを見ていると大腰筋をうまく使い、さらに体幹を強力に回旋させていることが分かります。こうした部分も、彼の大きな特徴ですね。
優れたドリブラーの特徴として、もうひとつ挙げられるのは、身体が前傾姿勢にならないことですね。前傾姿勢になると、膝重心になってしまいます。膝が屈曲し、いわゆる“居着く”状態となります。大腿四頭筋が張ってしまう状態ですね。股関節・下部体幹が柔らかく使えないため、次の動作に遅れが生じてしまいます。ドリブルで抜き去るシーンでも、よく見ると抜く瞬間は身体を過剰に倒しておらず、突破したあとに前傾姿勢になることが多いですね。
宇佐美選手は、シザース(またぎ)を交えてのドリブルも優れていると思います。しかしネイマール選手などのシザースと比較すると、まだまだ前傾姿勢になることも多く、股関節の使い方にも課題はあるかと思います。
宇佐美選手はまだまだ若く、大きな伸びしろを残していると言えるでしょう。今後、課題を克服していけば、日本代表の中心選手になれる逸材であることは間違いないはずです。
分析:中根正登(Oriental Physio Academy副代表)
取材・文:澤山大輔(カラダジャーナリスト)