「今季の年間ベストゴールは、あれで決まりじゃないですか？」
そう問いかけると、渡邊凌磨は「いえいえ、まだ序盤戦ですから」と笑みをこぼした。
“あれ”とは、今季Ｊ１リーグ、８節のセレッソ大阪戦で決めた同点弾を指す。右サイドバックの中村帆高からのアーリークロス気味のパスを、走ったままの状態から胸トラップでポンッと浮かすと、ゴールのやや正面、エリア外から身体を反転させてボレーシュートを叩き込んだのだ。
ひと言でスーパー。相手からしたら防ぎようがない、正真正銘のスーパーゴラッソだった。「あの一撃は感動しました」との筆者の感想に対し、渡邊は「ありがとうございます」と頬を緩めて言葉を継いだ。
「狙い通りではなかったけど、事前にキーパーを見ていたからこそ、シュートという判断ができました。常に周りを見る大切さ、常に相手ゴールを見る大切さを改めて実感したゴールでもありました」
絶妙な位置に収めた胸トラップが秀逸
秀逸だったのは、相手数人に囲まれながらも絶妙な位置に収めた胸トラップだ。
「シュートを選択するためのトラップ。それができたのはやはりキーパーを見ていたからです。見ていなかったら、たぶんあんな良いトラップはできませんでした」
昨季のセレッソ大阪戦ではハットトリックを決めるなど、ゴールへの嗅覚が鋭い渡邊。直近の福岡戦でも得点への意欲を見せているだけに、今後どんなゴラッソを披露してくれるのか。期待が膨らむ。
取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）
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